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溝口:そう思われるのは、家系図作成に対して誤解があるからです。結論から言えば、一定の条件さえクリアすれば、どなたでも江戸末期、元号でいえば「文化」(1804~18年)くらいまでは自分のルーツを遡れる可能性があります。代でいうと6~7代。明治維新の約60年前ですね。

そんなに。本当に6~7代まで行けるならこんな立派な家系図を作ることも可能ということですか。

注:西村寿行著『血の翳り』(角川文庫)329ページより引用。図の先頭中央にいるさいは「享和2年(1802年)に20歳」の設定

溝口:そこは複雑で、過去に実在した1人の人物を起点に時代を下って、子供、孫、ひ孫……と子孫を掲示していく「ピラミッド型の家系図」を作るのは簡単ではありません。ですが、1人の人物を起点に時代を遡って、両親、祖父母、曽祖父母と先祖を掲示する「逆三角形型の家系図」は、先ほど申し上げた通り、一定の条件で可能になります。

分かりました。では、ある依頼者、「太郎さん」が家系図の作成を依頼した場合、具体的にどんなふうに作業を進めていくのですか。

自分のルーツを知る入り口は「従前戸籍」

溝口:例えば、父方の家系図をお作りするとしましょう。まずは委任状を頂いた上で太郎さんご本人の戸籍を取得させていただきます。

しかし、太郎さんの戸籍をいくら見ても、妻と子が記載されているだけで、父や母すら出ていないはずですが。

溝口:大丈夫です。戸籍の中に「従前戸籍」という欄があって、「太郎さんが婚姻して今の戸籍を作る前に入っていた戸籍」の情報が記載されているんです。その従前戸籍を取り寄せます。

「前に入っていた戸籍」というと、太郎さんが婚姻前、まだ親に扶養されていた頃の戸籍ですか。

溝口:つまり、太郎さんの父親の戸籍ですね。