今後のビジネス拡大へ、ソニーが技術的な優位性を発揮できる領域はどこにあると見ていますか。
御供氏:ソニーでは実世界の事象をカメラやセンサーで取り込んで、データをクラウドに伝送、解析して、その結果に基づいた何らかのサービスを提供するビジネスを想定しています。R&D担当の勝本徹も話していますが、すべてのコンテンツがデジタル化されたことで、ソニーの手掛けるあらゆる事業にこうしたビジネスを展開できるようになってきた。
ソニーは一連の流れで数多くの技術を手掛けているので、他社に比べて技術の最適化をしやすい立場にあります。中でも、データを取り込む入力側の技術は間違いなく強いでしょう。

伝送技術も「5G」になれば大きく変わります。「3G」や「4G」ではソニーが必ずしも強かったわけではないですが、5Gになれば大容量や低消費電力、同時多接続といった従来の携帯電話網とは違う要求が出てきます。4K・8K映像やブロードキャストの技術も生かせるようになります。IoTのような世界であれば低消費電力が求められるので、ウォークマンの時代から培った技術の蓄積が生きます。
一方でビッグデータやAI(人工知能)は他社も力を入れていますので、そこで頑張るよりは、世の中にある一番いいものをうまく使える立場になればいい。
スタートアップ支援も新たなチャレンジではない
外部連携は「ソニーにないものを求める」という方針で進めていくと。
御供氏:そうですね。インフラとして皆が使ったほうが価値が出る技術は垂直統合する意味がないですから。先ほど説明したビジネスモデルでもAIやロボティクスなどの要素技術や最終的に消費者に提供するサービスは、多くの企業が様々な領域で開発を推進しています。こういった領域はうまく他社と連携しながらエコシステムをつくり上げて協業相手も我々も成長できるのがベストです。
新たなビジネスのエコシステムをつくり上げるうえで、他社との連携は不可欠です。その一環として、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)である「ソニーイノベーションファンド(SIF)」がある。大きな流れは、先ほど話した通り創業当時から変わっておらず、新しい取り組みという意識はありません。
SIFやスタートアップ創出支援プログラム「ソニー・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム(SSAP)」などの動きは、ソニーにとって新しいチャレンジではない?
御供氏:米グーグルの「20%ルール」のように、かつてのソニーには業務時間の20%を好き勝手やっていいという暗黙のルールがありました。いわゆる「机の下」の研究開発から新事業の種が生まれたのも事実です。
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