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サッカー、Jリーグの村井満チェアマンと新日本プロレスリングのハロルド・ジョージ・メイ社長が初めて対談。テーマはそれぞれが取り組む、コンテンツの海外への発信だ。日本から世界に向けて発信するうえでの強みや課題について、じっくり、熱く語り合った。

Jリーグの村井チェアマン(左)と新日本プロレスのメイ社長(写真=栗原克己)

お互いの試合を観戦したことがあるとうかがっています。それぞれどんな印象を持ちましたか。

村井:プロレスはサッカーと違い屋内の会場ため、観客との距離が近くプロレスラーの汗が飛び散ってくるのではないかと思うほどの臨場感がありました。

 見ているうちに、プロレスラーの本気度や観客との一体感が伝わってきました。運営面では、光、音を駆使して異空間をつくり上げるような、非日常の演出がすごいと思いました。

メイ:私はサッカー大国であるオランダの出身ですが、サッカーとプロレスの最も大きな違いはスケール感だと思っています。

 新日本プロレスもスタジアムでの試合には4万人ほどが集まりますが、通常の観客数は2000人、5000人、多くても1万人ほどです。J1平均で1万9000人ほどの観客が入るJリーグと比べると、やはりこぢんまりしています。スケール感が違います。

 サッカーのスタジアムは「一体感がものすごくあるな」と感じています。設備が整っていて、テレビカメラはいろいろなアングルで撮影しています。スタジアム内には食べ物、飲み物、グッズが豊富なうえ、ときには選手のサイン会も行っています。全体がすごくまとまっていると思います。

経営の健全性がアドバンテージになる

それぞれこのところ海外展開を進めています。現状を教えてください。

村井:海外展開の前提として、世界から見たJリーグの強みがあります。

 鹿島に所属したジーコはサッカー界で神様のような存在ですは、彼が出身地である南米の関係者に対して私を紹介するとき、「ミスター村井は給料の未払いや遅配がないリーグの責任者だ」と言うと、相手は腰を抜かすほどびっくりします。世界的に見ると、サッカーの興行は赤字になったら給料の未払いなどが恒常的に起こりうるわけですが、Jリーグにはそれがありません。そういう意味では世界と比べて極めて健全経営です。

 さらにJリーグでは26年の歴史で八百長が起こったことがありません。スタジアムには家族連れが多く見にきたり、3世代がいっしょにサッカー観戦したりしていて安全です。例えば選手の年俸だけを考えるなら、もしかすると同じアジアでも中東や中国のほうが高いかもしれませんが、生活環境や安全面も考えて世界のビッグスターは日本でプレーすることが増えています。経営の健全性や安全な環境はアドバンテージになっています。