総務省が9月30日に発表した2018年の住宅・土地統計調査によると、全国の空き家の戸数は848万9000戸で、13年の調査に比べ3.6%増えた。総住宅数に占める空き家の比率は0.1ポイント上昇して13.6%になった。人口減に伴い、街の魅力を奪う元凶として社会問題になったのに、今も増え続けている実態が浮かぶ。空き家問題に詳しい住宅・土地アナリストの米山秀隆氏に現状と取るべき対策を聞いた。

空き家は実際に増えているのでしょうか。

米山秀隆氏:空き家には「賃貸用」「売却用」、別荘など「2次的住宅」と「その他」の4類型があります。5年前と比較すると「その他」以外はほとんど変わっていません。問題なのは空き家だけど借り手を募集する賃貸用でもなく、買い手を募集する売却用でもなく、別荘でもない住宅です。相続した後、そのままにしておくような物件で、7割が木造戸建て。空き家全体としては3.6%増にとどまりますが、一番問題とされるこうした「その他」が統計では増えています。

 1990年代の終わりから引き継ぐ人がいない空き家が地方で増え始め、さらに人口が減少していった。都市部でも郊外や不便な立地といった条件の悪いところで空き家の増加が一貫して続いています。今後は団塊の世代が亡くなったときに、その子供が親の住宅に住まず、売るに売れないとなると、「その他」が著しく増える懸念があります。

<span class="fontBold">米山秀隆(よねやま・ひでたか)</span><br /> 住宅・土地アナリスト。1986年筑波大学第三学群社会工学類卒業。89年同大学大学院経営・政策科学研究科修了。野村総合研究所、富士総合研究所、富士通総研などで研究員を務めた。2016~17年総務省統計局「住宅・土地統計調査に関する研究会」メンバー。主な著書に『捨てられる土地と家』(ウェッジ)、『限界マンション』(日本経済新聞出版社)など
米山秀隆(よねやま・ひでたか)
住宅・土地アナリスト。1986年筑波大学第三学群社会工学類卒業。89年同大学大学院経営・政策科学研究科修了。野村総合研究所、富士総合研究所、富士通総研などで研究員を務めた。2016~17年総務省統計局「住宅・土地統計調査に関する研究会」メンバー。主な著書に『捨てられる土地と家』(ウェッジ)、『限界マンション』(日本経済新聞出版社)など

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り2346文字 / 全文2937文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「インタビュー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。