格安靴の製造・販売で知られるヒラキ。コロナ禍にあって靴のニーズが減退する中でも、靴以外の製品の企画・開発に注力していたことが奏功し、業績は堅調だ。日経ビジネスは『安さだけじゃない靴のヒラキ、「まとめ買い」促す仕掛け』で、カタログ通販を主力とするヒラキが顧客のニーズをつかんでいる理由に迫った。今回は伊原英二会長のロングインタビューを掲載する。

<span class="fontBold">伊原英二(いはら・えいじ)氏<br>ヒラキ会長</span><br>1950年生まれ。岡山県出身。74年に関西学院大学を卒業し、兵庫相互銀行(現みなと銀行)入行。2005年ヒラキ入社。顧問や常勤監査役を務め、18年に代表取締役会長就任。19年6月から社長執行役員を兼任。
伊原英二(いはら・えいじ)氏
ヒラキ会長

1950年生まれ。岡山県出身。74年に関西学院大学を卒業し、兵庫相互銀行(現みなと銀行)入行。2005年ヒラキ入社。顧問や常勤監査役を務め、18年に代表取締役会長就任。19年6月から社長執行役員を兼任。

コロナ禍にあって、21年3月期は営業利益が倍増するなど堅調です。

伊原英二氏(以下、伊原氏):20年の4月は本当にどん底でした。目の前が真っ暗になったくらいの最悪な状況でしたが、5月ごろから復調してきて、6月には好況に転じました。猛暑が続いていたので、夏物商品が飛ぶように売れましたけど、今度は売れすぎて夏物の在庫がなくなってしまった。秋物を投入すると、9月も猛暑が続いたもんだから初めは苦しかったんだけど、涼しくなったらまた需要が戻った。

 最後は増収増益に持っていけましたけど、事ほど左様(さよう)に先の事は分からないもんです。当社は常にあたふたしている会社ですよ。いつも、いっぱいいっぱいですわ(笑)。

主力製品の靴のニーズが落ち込む中で、衣料品や日用品の需要伸長がそれをカバーしました。

伊原氏:衣料については、流行を追わずに「部屋着」や自宅周辺に出かけるときに着る程度の「ワンマイルウエア」を軸に企画・開発してきました。日用品は、生活必需品や安価な便利グッズを中心にしています。

 私が社員にいつも言っているのは、「顧客ニーズに徹底的に寄り添えない会社というのはいつか淘汰されるよ」ということ。衣料にしても日用品にしても、顧客に寄り添い続けて、顧客主体の商品づくりをしてきたことが奏功したのだと思っています。

 でもそれは、我々のやってきたことがコロナ禍でたまたま顧客ニーズと合致しただけのこと。過去にはニーズと合致できていないときだってありましたし、この先どうなるかも正直分からんのですよ。

 カタログ通販の売り上げ構成比でいえば、コロナ前までは靴商品の売り上げが55%でそれ以外が45%くらいでしたが、その割合が逆転しました。巣ごもり消費で家財道具や衣料が伸びたんです。もし靴以外の商品に力を注いでいなかったら、単純に靴の売り上げが落ちただけ、という事態に陥っていたでしょうね。

 新型コロナの感染状況などによって、消費者の動きは日々変わり続けています。だからこそ、常に「何が求められているのか」を考えていなければいけない。市場に合わせるマーケットイン、ではなく、顧客の声に徹底的に応え続けるユーザーインの姿勢こそが重要だと考えています。

続きを読む 2/4 カタログ通販の先行きに危機感

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