アスキー創業者で米マイクロソフト元副社長の西和彦氏が、2024年に新しい大学「日本先端工科大学(仮称)」の創設を目指している。世界に通用する技術者を育て、情報系の分野で日本の競争力向上を図りたいという。マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏には奨学金の面で協力を依頼している。大学創設の狙いや日本の課題、解決策について聞いた。

西 和彦(にし・かずひこ)氏
西 和彦(にし・かずひこ)氏
1956年神戸市生まれ。75年早稲田大学理工学部機械工学科に入学、在学中にアスキーを創業。創業間もない米マイクロソフトの経営に参加、新技術担当副社長などを経てボードメンバーとなる。99年に工学院大学大学院で博士号。 00~03年、米国マサチューセッツ工科大学メディアラボ客員教授。01年から須磨学園長として中高一貫教育を推進。17~22年に東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻IoTメディアラボラトリーのディレクター。19年より日本先端工科大学(仮称)設置準備委員会委員長。21年よりNPO法人IoTメディアラボラトリー理事長(写真:稲垣 純也、以下同)

西さんは新しい大学を創設しようとしています。日本には世界に通用する技術者が少ないという問題意識があるそうですね。

日本先端工科大学(仮称)設置準備委員会委員長の西和彦氏(以下、西氏):はい、足りません。もっと要ります。東京大学工学部クラスの教育をする大学がもっと必要だと考えています。

文系科目はできなくていい

 東大は狭き門です。現代国語や漢文・古文など国語もできなければならないし、日本史や世界史などもできなければなりません。理科や数学ができるのに、文系科目ができず落ちてしまっている子どもたちがたくさんいるわけです。彼らを集めて教育したら、世界に通用する技術者を育成できると思うわけです。

いわゆる偏差値という指標だけじゃなくて、面接によって技術者として大成しそうだと見極めた人材を受け入れるということでしょうか。

西氏:私の考えですが、学校の教員に面接をやっていただくのではなく、面接するプロの人を育成しようと思っています。面接で超生意気ばかり言う人間を採らなければならない。学校の教員は生意気な人間をはねます。自分の言うことを聞くヒツジみたいな人間ばかり採るわけです。当然でしょう。だからプロフェッショナルな面接者も入れて実施しようと思っています。

西さんは思っていることをズバッとお話になります。西さんみたいな人材を採ろうということですか。

西氏:私がいい人材だとは思いません。ただ、けんかが好きなだけです。まあ、東大の学生を見ていても、みんないい子ばかりなのです。だけれど、いい子だけでは足りません。もっと反発したり、自分を強く主張したりしてもいいです。そういえば最近、東大の卒業生ですごい人に会いました。アーティストで博士号を持っていて、マーケッター、自己主張の塊みたいな人でしたね。こういう人じゃないと、世の中渡っていけないと思います。

 いずれにしても今、世界に通用する技術者の数が足りません。増やさなければなりません。そして、とんがった技術者を育成するのは難しいことではありません。要は教授法です。

世界に通用する技術者とはどんな人でしょうか。世界初のマイクロプロセッサーを設計した嶋正利さんのような方でしょうか。

西氏:嶋さんはまったくの例外でしょう。あんなに能力のある人はいないと思います。嶋さんほど立派でなくてもいいですが、半導体が設計できればいいし、ソフトウエア・プログラムが書くことができればいいと考えています。

半導体の設計ができたり、プログラムを書くことができたり、意欲があり突っ走ることができたりする技術者を育成すべきだと考えているわけですね。

西氏:はい、そうです。

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