一枚岩になれたからこそ成果を出せた
布施氏:初めから根本を変えなければという思いはありました。でも、そうは言いながらも、どうしても短期の結果に追われていました。それに、小岩井乳業に4年間行っていたので、久しぶりにビール業界に戻ってきたら環境が大きく変化していたという難しさもありました。
それでも少しずつ成果を出せているというのは、僕一人だけの力ではありません。ラッキーなことに新しいマーケティング戦略の立役者になった山形(マーケティング部の山形光晴部長)がP&G(プロクター・アンド・ギャンブル)から来てくれたり、部門長が僕の考え方を理解してくれたり。「やっぱり組織のマインドって大事だよね」と部門長が同じ気持ちでやってくれているからこそできていることであって、一人だけでは難しかったです。一枚岩になるというのも、本来は結構大変なことですからね。
ただ、いくら私が「変わったな」とか「良くなったな」と思っても、これは本来、受け手の話なんですよ。社員一人ひとりに実感や手ごたえを聞いてからじゃないと、どれだけ成果が出たのかは分かりません。組織ですもんね。変わったと思っている人も当然いるでしょうが、まだまだ変わっていないと感じている人もたくさんいるのでね。だからこれはもうキリがないです。まったくキリがない。これはもうやり続けないといけないと思っていますね。

トップとして一番の思いは……
僕がなぜこんなに組織風土に重きを置くかというと、社員がせっかく働くんだから、そこで幸せでやりがいのある豊かな人生を送ってほしいと思っているんです。やっぱり、いい組織風土をつくってあげないと、それが実現できないじゃないですか。そこがトップとして一番強い思いです。
他の部門の悪口を言ったり、人のせいにして仕事をしたり。それで楽しいかというと、それは楽しくないですよね。「自分たちはこのために仕事をしているんだ」「今日も世の中に貢献できたんだ」と、工場の人たちも、営業も、マーケティングも、間接部門も、バックオフィスも全社員がそう感じてくれる会社になったら、それはきっとすごいことでしょう。
これを理想像とすると、改革はいい方向には進んでいますが、まだまだ終われないよという感じかな。社員の幸せのためにそんな環境をつくってあげたいし、それができれば間違いなくもっといい会社になると思っていますからね。

The Future of Management 2030
資本主義の再構築とイノベーション再興
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