チケットはまだ買える
いよいよ開幕です。嶋津さんは常に「全48試合を全て満員にする」と言ってきました。9月17日時点では95%近くのチケットが売れたと聞いていますが、手応えは?

嶋津氏:試合の前日まで売りますよ。ご存じの通り、チケット全180万枚のうち、半分を組織委員会がチケットサイトを通じてBtoCで売り、残り90万枚はワールドラグビーがBtoBで売っています。ただ、B向けには限界があるので、「ハンドバック」という仕組みで余ったチケットがワールドラグビーから組織委員会に戻ってくる。それを我々がチケットサイトに追加して売っています。
ただ、ワールドラグビーは準々決勝以降のまだ対戦相手が決まっていないカードのチケットを手元に持っています。なので開幕前に100%になることはあり得ません。チケットは計算上、10万枚ほど残っているので、まだまだ買えます。リセールの仕組みもあります。あきらめずにアクセスしてほしいですね。
開幕前に95%という数字をどう評価していますか。
嶋津氏:チケットの売れ行きについて事前に予測はしていません。満員にするという目標しか置いていないんです。ただ、ワールドラグビーからは他大会に比べて「非常にいい」という評価をもらっています。
誤算だったのは、チケットサイトのアクセスの約3割が国外からだったことです。これは2015年のイングランド大会の英国以外からのアクセスとほぼ同じなんですね。欧州は国同士が近く、ユーロトンネル(英仏海峡トンネル)で英国とつながっていますから、ほぼ同じということは非常に多い数字です。これはうれしい誤算でした。約50万人が来日するという計算になります。
これは日本のインバウンド(訪日外国人)誘致にとっても非常に喜ばしいことです。なぜなら今のインバウンドの中心はアジアですが、W杯はアクセス状況から見て、一番多いのは英国。総じて欧州が多く、次いでオセアニアなんですね。つまりインバウンドの構成が従来とは全く違う。
これが2020年の東京五輪・パラリンピックや2021年のワールドマスターズゲームズにつながっていくことを期待しています。
W杯は「東京大会」ではなく「日本大会」であることが大きな意味を持っていますね。
嶋津氏:おっしゃる通りです。日本の地域にとって大きな意味を持っています。これはスタジアムを運営する自治体やキャンプ地となっている自治体に限りません。例えば金沢市はオセアニアからの観客を集客しようと積極的に動き、結果、数千人が訪れると聞いています。
ラグビーW杯の観客は、非常に長いトリップをするという特徴を持っています。試合と試合の間に全国を飛び回って観光する。この波をどう地域の活性化につなげていくかは、それぞれの地域の努力によるところでしょう。
開幕直前の気持ちは。
嶋津氏:もちろん不安はありますよ。一番大きいのは気候リスク。すでに台風で選手の受け入れ時に成田空港で何時間もバスが到着しなかったという問題も起きています。でも、こればかりはいかんともしがたい。
イングランド大会は観客動員数247万人という記録を打ち立て、「レコードブレイキング」な大会と呼ばれました。我々が目指すのは「グランドブレイキング(革新的)」な大会です。ラグビーの地平線をアジアに広げる革新的な大会にしたい。
まずは開幕式。イングランド大会は(ルーツ国として)「Home of Rugby」をテーマにしました。我々は対照的に「Rugby for Tommorow」を掲げます。アジアの国々の若者を招待しています。ぜひ、ラグビーの未来を見てほしいと思います。
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