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 東日本大震災以降のエネルギーシステム改革の総仕上げとして、4月に発送電分離が実施された電力業界。各社が送配電会社を分社化した。電力会社はこれまで、1つの事業会社によって経営されることで求心力を保ってきた面もある。新しい形に変わった電力会社をどう運営していくのか。4月に中部電力のトップとなった林欣吾社長に話を聞いた。

林欣吾(はやし・きんご)
1961年生まれ。84年京大法卒、中部電力入社。お客さま本部部長、東京支社長、専務執行役員・販売カンパニー社長などを経て、2020年4月から現職。趣味は山登りやスキー、落語鑑賞

新型コロナウイルスの影響で、これまでと同じような働き方ができなくなるなど、様々な変化が起きています。

林欣吾社長(以下、林氏):世の中の価値観は大きく変わったと感じます。仕事に勉強や飲み会、遊びもオンラインでするようになるなど、生活スタイルが一変しました。私たちは、(エネルギー事業以外で)暮らしに役立てる新しいサービスを展開することを1つのミッションとして掲げていますが、今回の新型コロナの影響をきっかけにこうしたサービスは加速しています。

 例えば慶応義塾大学病院や慶大医学部発スタートアップのメディカルデータカードとは、妊婦を遠隔から診察できるオンライン検診を6月から始めています。新型コロナの発生以前から考えていた内容ですが、こうしたサービスの需要が高まっているところにちょうど提供できました。

震災を受けた東京電力福島第1原子力発電所の事故以降、自由化競争が活発するなど電力業界は大きく変わっています。電力以外の事業に進出するケースも増えています。

林氏:中部電力は事業形態を大きく変えようとしています。私たちが持つ電気のネットワークを利用すれば、いろんなことが可能になります。例えば医療分野。スマートメーターから時間ごとの電気の使用状況を見ると、朝何時頃に起きて何時に就寝するかといった生活習慣が分かります。こうした情報を、医療機関と連携して、その人の体温や心拍数などと組み合わせると、生活習慣病が顕在化する前に習慣を見直すようアドバイスすることができます。医療ではメディカル社を9月末までに連結子会社にする予定です。