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池田:そういうことです。もちろん、グーグルさんだけではなく、我々にもメリットがあるいい広告なんですけれども、でももっと広告単価が高くていい広告があったとしても、仕組み上、グーグル側の意向が優先される場合があります。その仕組みをそうならないように、フェアにちゃんとオークションさせて、収益の高い広告を選べるようにする。ごく簡単に言えば、そういう技術です。

編集Y:それってSEO対策と同じく、グーグル側がルールを変えた瞬間にこれまでのテクニックが使えなくなっちゃうものではないですか。

池田:おっしゃる通りです、その可能性はあると思います。

編集Y:という意味では、なかなか……。

池田:日進月歩、もういたちごっこです。例えば「ヘッダービッディング」という技術がありまして、使われ始めたのは3年ほど前で、我々が国内で初めて取り入れているんですね。でも、今はもう当たり前の話になりました。昨年も「ラッパーソリューション」というアド技術があるんですが、それを国内で初めて取り入れたのは我々だと思います。

システムは動かした日からが戦いだ

編集Y:日進月歩とも言えるし、グーグル側の意向に大きく振り回される「あなた任せ」と言える部分もあるかなと思うんですけど。

池田:そこはあると思います。こうした技術もしばらくすれば、グーグルがそれを凌駕したものを出してくるでしょう。でもまたそのときは対抗技術が現れる。ウェブ広告の世界はこういうものだと思います。常にアンテナを張っていなくてはならない。しかもその新しい技術って残念ながら、国内じゃなくて海外から発信されることがどうしても多いんですね。

編集Y:市場規模が違いますからね。

池田:ですので、海外の業者さんともいつもやりとりをしていますし、新しい技術が生まれ、それが「tenki.jp」に対して有効であれば、ためらわずに取り入れていく、という考え方をしています。

編集Y:なるほど。入稿の条件を入れておくと、あとはもう寝ていても一番いい値段を付けた会社さんの広告が自動的に入ってくるのかと思っていました……。仕組みを入れて、そこからが勝負、という。「システム」って聞くと、1回入れて、ターンキーしちゃえば、あとは何もしなくても、みたいなイメージがありますが、まったくそうではないんですね。

池田:はい。

編集Y:ゲーム会社さんに「ソシャゲ(ソーシャルゲーム)は始めるのは楽でも、内実は終わりのないコミュニティービジネス」と聞いたことがあります。ビジネスの主体が売り切りからリカーリングへ、というのは最近よく聞きますけれど、メディア企業もニュースの報道から、コミュニティーの維持、のみならず、広告の運営も相当程度自力で行う、終わりのない戦いになっていくのかもしれない。

池田:そうですね、おっしゃる通りですね。終わりがない戦いです、ずっと。

「メディアを作る」スキルと、コンテンツの制作は別物だ

編集Y:話が一回りしてしまいますが、「だったら外注して、自分たちはコンテンツに絞る」という考え方ではダメなんでしょうか。

池田:それは企業やコンテンツの中身によって違いますよね。「tenki.jp」では、どちらも自分たちでやる、という選択をしているわけです。

 トレーディングデスク業務(の代行)は、日本の大手広告代理店さんも手がけていますが、当然ながらコミッションが発生します。なにより「天気によって、どうアクセスが変わるんだ?」という知見は我々が最も多く持っている……と信じている以上、自前でやっている方が強いと思います。

 私はコンテンツホルダー側にもいましたし、メディア側にもいたのでよく分かるんですが、コンテンツ会社さんって、どこまでいっても「コンテンツを販売していくら」という考え方がやっぱりあると思います。そして、「コンテンツを作る」のと「メディアを作る」って、別のスキル。私はそう考えています。

 ですので、「tenki.jp」はすごく特殊な形態だと思います。メディアを作る側の我々と、コンテンツホルダーの気象協会さんが、外注先とかクライアントという関係性ではなく、一緒に事業をやっているという、そこが最大の強みですね。