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例えば、天気予報はたいてい同じ場所を見る

池田:ええ。ABテストをしながらテストするんですね。ここ(エリア名を指さす)に画像を入れないバージョン、入れたバージョンとか、タブにする、しないバージョンとか、いろいろしてみてテストをすると、クリックレート(CTR)と言うんですが、CTRでもこれだけ差があるよねというのが出てくるので、効果があったUI/UXを採用する。

編集Y:じゃあ、現状はそれを経て一番よかったやつが使われているということですね。

池田:はい、今時点ではそうです。ただ日々分析しているので、またこれからも変わるかもしれません。本当に細かいこと、例えば「New」というアイコンの色を赤にしてみたり、青にしてみたりするとクリック数が違うとか。とはいえ、赤というのは気象の世界では、注意勧告を示したり、いろいろイメージがあるのであまりちらつかせてしまうとよくなかったりする。

 後は、例えば昔ですと、トップページから入ってエリアへ下っていく形でのアクセスが多かったんですけれど、今は検索エンジンからダイレクトに、例えば「東京」と「天気」、あるいは「新宿区」「天気」で、ディレクトリの下の方のページに直接来ることが多いです。ですので、ここに履歴が出るようになっています。天気予報は、同じところをどうしても見るじゃないですか。

編集Y:ああ、そうですね。

池田:そこで、前回見たエリアや天気図などのページが出れば手間がないでしょう、と。もちろんこれも、この機能がどのぐらいクリックされているかを見ながら調整しています。文字の視認性もすごく注意しています。文字の大きさ自体に関しても……気温と、ここが前日比なんですが、前日比は少し文字が小さいんですけれども、そこも何パターンか用意して、どれが一番見られやすいかというの分析しながら出しています。

編集Y:有意差ってはっきり出るものですか。

池田:もちろん大小ありますが、出ます。といいますか、出ないようでは試す価値がないわけで。1週間くらいかければどちらが好まれるのかははっきりしてきますね。そこは、アクセス数の多さ(業界2位、年間40億PV)が効いていると思います。どんどんPDCAを速く回すことによって、サイトもどんどん成長している、という状態ですね。

ABテストの結果を示す画面(イメージ)

編集Y:一方でこれって、すぐパクられそうなところもあるじゃないですか。それこそ「tenki.jp」さんがすごい頑張って作ったインターフェースを、「よし、こうすればいいんだ」みたいに。UI/UXで差異化しきれるのかなというところについてはいかがですか。

池田:そこは、「パクる」ことを当然と考えてしまうと、そのときそのときのいいものに合わせてポリシーなくブレることになるので、かえって危険だと思うんですよ。点ではなく「線」としてずっとやり続けることで、メディアの継続性に対して価値が生まれる。

 そういう意味でも、「できる限り自前ですべてのことをやりたい」というのが我々の発想なんですね。外に出してしまうと、どうしてもやっぱり点でその部分のいいところだけ取るということになってしまって、社内でノウハウが残りませんので。

編集Y:なるほど。

池田:常にPDCAを回して分析をして、今時点でベストと思える解を作ってはいるので、今のものをマネされても、我々はそこにとどまってはいない、というスタンスですね。

 「tenki.jp」らしい「見せ方」としては、「純広(じゅんこう・一つの広告主が掲載枠を買い切るタイプの広告)」では、晴れの日と雨の日で広告のクリエーティブを変えたりします。雨の日だと部屋干し洗剤だけど、晴れだったら通常の洗剤とか。当然、これでクリックレートは変わります。

編集Y:やはり違いますか。

池田:はい。そういったものをすべてチューニングして広告を出し分けることで「tenki.jp」の特色を出したりとか、そういったことにも今チャレンジしています。

とはいえ主流は運用広告

編集Y:クリエーティブを変えると効果的ですよ、そういう広告商品を作りませんかというご提案を「tenki.jp」さんが広告代理店さんにするんですか。

池田:代理店を挟んで、一緒に営業に行くことが多いですね。実際、メーカーさんも天気によって商品の売れ行きが変わるということは、なんとなくでもご理解をされていて。

編集Y:それはそうですね。

池田:それは広告の世界でも同じだよね、ということで、実際に出稿いただいた後に、認知テストをしてみて、そうすると、やはり天気に合わせて変化をかけた方がかなり認知が、パフォーマンスが上がるという結果が出るので、これってやっぱりアクションとしては正しいことだよね、とご理解いただけることが多いです。

編集Y:なるほど。さて、純広のお話が出ましたが、現在のウェブの広告は「運用広告」、アドネットワークが中心ですよね。

池田:はい。