全11311文字

池田:当時、ヤフーでは「Yahoo!ニュース」が大きくて、「Yahoo!ニュース」の中の1つのコーナーとして気象情報があったんですが、そこのコーナーをちゃんと「Yahoo!天気」として大きく、今の形にしたいと。このころはまだ防災情報とかも全然、データが入ってなかったんです。「きちんと防災のプラットフォームにしなきゃいけないよね」と、当時の社長の井上(雅博)さん、亡くなってしまいましたけど、井上社長にそういう提案をさせてもらって、「Yahoo!天気」ができたんです。

 ヤフーの天気情報がフルリニューアルする際に気象協会さんの情報を使わせてもらったり、地震情報とかいろいろな情報を買わせてもらったりしていまして、そこで協会さんとのご縁ができました。

編集Y:なるほど。

池田:「気象のデータの扱い方」と、「それをどうやってメディア上で見せていくか」という、この2軸を、20代をかけて学ぶことができたので、「じゃあ、30代はどうしようか」というところで独立をしまして、そこで「一緒にやりませんか」とお声がけいただいた気象協会さんと「tenki.jp」の共同事業を開始した、という流れです。

コンテンツを持っている側が、グロースハックを行うべきだと思います

編集Y:池田さんが、気象情報の扱い方と、ネットメディアを運営したご経験、スキルをお持ちというところは分かったんですけれども、でもだからといって、SEOやグロースハックを自ら手がける必要ってあるんでしょうか?

池田:社員数15人と小規模ですから、疑問も感じられるでしょうね。先ほどおっしゃったように、SEOやグロースハックの専門の会社さんもありますから、外出し(そとだし)という選択肢も当然あります。あるんですけれども、我々は自分たちでやることにこだわっています。

編集Y:なぜでしょうか。

ALiNKインターネットのオフィス

池田:結局、コンテンツのことを深く理解していなければ、本質的なSEOも、グロースハックもできない、と思っているからです。

編集Y:どうしてそう思われるのですか?

池田:例えば日経BPさんのようにニュースを扱う会社はたくさんありますが、同じニュースでも、会社によってニュースの質って違うと思うんですね。経済誌と、一般誌、スポーツ誌では取り上げ方も、読者さんも違うじゃないですか。

編集Y:はい。

池田:そして、どういう記事に対してどういうユーザーさんがいて、どういう見られ方をしているのかというところ、つまり扱っているコンテンツの本質を探るというのは、自分自身がコンテンツのホルダーじゃないと、たぶん理解できないと思っていまして。

編集Y:……それは確かに。

池田:我々は気象情報の本質を把握しているつもりですし、気象のデータをいかに加工して世の中に見せるかというところに関しては、手前みそですけれども、プロフェッショナルであると理解、認識しているので、そこは外出しはしない。逆に、そここそが我々の強みの一つだと思っています。

編集Y:お会いする前に、実はいくつかアプリを見比べてみました。これはどういう言い方をしたらいいのか難しいんですけど、欲しい情報がもりもり出てくる感じがするところと、「どこにあるんだっけ」と探さざるを得ないもの、というくらいの差がありますね。

池田:あります。ちなみにどこのをお使いですか。

編集Y:実は「Yahoo!天気」さんをいつも使っています。今回「tenki.jp」を初めて見て「似てる」と思ったのですが、背景が分かりました。池田さんがお考えになる気象情報の本質とか、見せ方はこうあるべきだという、フィロソフィーみたいなものをちょっとお聞かせいただけないでしょうか。

「防災」「スピード」がフィロソフィー

池田:いわゆる防災情報と呼ばれている地震とか台風情報、津波情報といったものは民間の気象会社が独自発表することは法的にできず、気象庁が発表したものをそのまま使うことしかできないんです。ということは、データの精度での差異化って難しいんですね。そこをいかに、見せ方だったり、届け方、UI/UXで差異化するか。そこが我々の領域だと思っています。

 おっしゃった「Yahoo!天気」さんとか「ウェザーニューズ」さん、「ウェザーニューズ」さんと我々はよく比較されるんですけれども、あちらはコミュニケーション、コミュニティー、エンタメ的な要素に力を入れられているように感じます。会員制にして空の写真を撮り合って見せ合ったりとか、後はお天気お姉さんをCDデビューさせてみんなで応援したりとか。

編集Y:お、楽しそう(笑)。

池田:はい。それはそれですごくすてきな戦略だと思います。ただ、我々としてはやっぱり気象協会さんと共同でやっている事業ですので、あくまで天気を中心に「防災」を意識したもので差異化しよう、ということになります。

編集Y:見せ方としては具体的にどういうところにそれが現れているんでしょうか。