信用がスコア化されることによって未来のその人の収入増加が予測できるし、グルーピングすることによって確実な投資商品へと変わるわけだ。つまり、その人の未来を加速させる投資商品が全ての領域において可能になる。

 無駄なコストを省く例もある。アント・フィナンシャルは芝麻信用の信用スコアが650以上の人だけが入れる健康保険を始めた。運用費は一定金額かかるものの基本料金は無料。一定の確率で事故を起こしたり病気をしたりする発生費用を皆で分けましょうという保険だ。

 基本的な仕組みは日本の従来の保険と同じ。だが、従来の保険はなんらフィルターのかかっていない日本人全体を対象に、「この年齢だったらこういう事故を起こしやすい」「この職業だったらこういうけがをしやすい」といった試算をして、皆が損をしない掛け金を算出している。複雑な計算をしているがために、保険の販売には宣伝費用がかかり、説明コストもかかる。こうしたコストは全員が負担している。

 信用スコア650以上の人というフィルターがかかっていれば、日々の生活がまめな人が多いから病気の発生率が低い。さらには、スコアの点数が今後の快適な生活にも響くため、書類提出をごまかしたりもしない。結果、精査する費用も軽減され、最安値の保険が出来上がる。こうした好循環が回り始めている。

 信用スコアが財産になれば、社会的なコストが減る。だが、この理解に日本は時間がかかるだろう。日本は減点主義の社会だ。スコア化されるということは監視されることと受け止められ、スコア化される社会は減点される社会として感じてしまう。

 加点主義がベースにある考え方だということが実感されるようになれば、少しずつ社会も変わり始めると考えている。

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