米ファイル共有大手のドロップボックス日本法人の梅田成二社長に、日本での取り組みを聞いた。中小企業へ自社のサービスを売り込む姿勢を示したほか、行政向けシステム基盤「ガバメントクラウド」にも期待する。
ドロップボックスが手掛けるファイル共有サービス「Dropbox」は、日本ではどの業界で使われているのでしょうか。
ドロップボックス日本法人の梅田成二社長(以下、梅田氏):建築・土木での利用が一番大きく、IT、メディア、製造業界が続きます。

建築・土木現場では「クラウドを使うしかない」
なぜ、日本では建築・土木業界でよく利用されているのでしょうか。
梅田氏:建築・土木業界は使うデータ量が多く、データの更新が頻繁に発生します。いわゆる“現場”があり、現場で使いやすいテクノロジーが求められています。
建築業界では図面をCAD(コンピューターによる設計ソフト)で起こしますが、現場で工事が始まると設計の手直しが必要で、図面修正は頻繁に起こります。図面を修正するのは本社の設計部門ですが、工事現場は日本全国にあって、変更が起こるたびにCADの大量データをやり取りするのは大変です。
今まではCADで作製した図面を現場の事務所にあるファイルサーバーやネットワーク対応型ストレージ(NAS)に送って、現場でダウンロードしていました。ただ、現場には必ずIT管理者が必要で、彼らが現場のサーバーやNASのお守りをする必要がありました。リソース(人材)が足りないのであれば、「クラウドを使うしかない」というわけです。
今後、どのような企業や業界に対してドロップボックスを売り込む考えですか。
梅田氏:より小規模な会社に使ってほしいですね。大企業は既にそれなりのIT投資をしていて、IT部門もあるので、クラウド化が進んでいます。海外だとドロップボックスに限らず、中小企業でもクラウドサービスが既によく使われていますが、日本の中小企業にはまだまだ浸透していません。
日本の中小企業で、クラウド化が進まないのはなぜでしょうか。
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