独自のエネルギー源が限定的な日本。ウクライナ危機により、安定調達や価格高騰のリスクが高まっている。経団連の十倉雅和会長は、エネルギー自給率を高めるためにもグリーントランスフォーメーション(GX)が鍵になるとみる。産業競争力を維持しながらエネルギー確保と脱炭素を実現させる道筋について話を聞いた。

十倉雅和[とくら・まさかず]氏
十倉雅和[とくら・まさかず]氏
1950年兵庫県生まれ。74年東京大学経済学部卒、住友化学工業(現・住友化学)入社。98年精密化学業務室部長、2006年常務執行役員、09年専務執行役員、11年社長、19年から会長。経団連では15~19年に副会長、21年6月から現職(写真=伊藤 菜々子)

ウクライナ危機が長引く中、足元のエネルギーを確保するために地球温暖化対策が遅れるとの見方があります。

十倉雅和・経団連会長(以下、十倉氏):エネルギーの議論をするときは、「S+3E」という4要素のバランスが重要だ。これはSafety(安全性)、そしてEnvironment(環境)、Economic efficiency(経済効率)、それからEnergy security(エネルギー安全保障)の頭文字を取っている。今まさにウクライナ危機が起こっており、エネルギーセキュリティーが前面に出ている。特に日本はエネルギーの自給率が低いという大きな課題がある。

 ただ、最も長期で考えないとならない要素はやはり「環境」だ。長い人類の歴史で見たら今が異常な時期。ホモ・サピエンスが誕生した完新世は1万2000年ほど続き、その間の気候は約1度しか変動しなかった。ところが、ここにきて気温上昇を1.5度に抑えようとか、さもなくば3度や4度の上昇もあり得るという事態になっている。これを人新世と呼ぶ人もおり、人間による影響を無視できない。

 大気中の二酸化炭素濃度が400ppm(ppmは100万分の1)を超え、さらに450ppmを超えると不可逆なティッピングポイント(転換点)に至る。本当にもう時間がない。環境対応を強化するという国際的なトレンドは変わらないだろう。

再生エネと原子力を純国産エネルギーに

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