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6月中旬に政府が提供を始める接触確認アプリ。当初、予定していた機能が実装できなかった真相とは(関連記事:「接触確認アプリ」で生じた三つの想定外)。他国で導入が進まない中、日本では果たして広がるのか。新型コロナウイルス感染症対策テックチームの事務局長を務める平将明内閣府副大臣に聞いた。

平将明(たいら・まさあき)衆議院議員
内閣府副大臣を務める。4月に新設された新型コロナウイルス感染症対策テックチームの事務局長も務める。

接触確認アプリ提供に至った背景とこれまでの開発経緯について教えてほしい。

 重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)がまん延したときと比べ、テクノロジーは著しく進化している。新型コロナウイルス対策でIT(情報技術)を活用できるのではないかという話は以前より出ていた。シンガポールでコンタクトトレーシング(接触追跡)アプリが導入されたという話が日本にも伝わり、各省庁にも民間企業から多数の協力の申し出が届き始めた。

 だが、各省庁がばらばらに受けても効率が悪い。そもそもの厚生労働省は現場の対応に追われてそれどころではなかった。受け皿をきちんと国側につくるべきではないかという私自身の問題意識があり、テクノロジーで諸問題を解決するための専門テックチームをつくろうと提案した。新型コロナウイルス対策担当大臣である西村康稔経済再生担当相が同じ問題意識を持っていたということもあり、提案から1週間足らずで発足したのが新型コロナウイルス感染症対策テックチームだ。

グーグルとアップルの発表で状況が変わった

 当初はコード・フォー・ジャパンや、インドで同様のアプリ開発を手がけている楽天から多大な協力を得て準備を進めていた。だが、米グーグルと米アップルが共同で濃厚接触可能性を検出するOS(基本ソフト)レベルの機能を開発するという(4月10日の)発表を受けて状況が大きく変わった。日本でのスマートフォンの普及状況を見れば、グーグルとアップルがOSに実装する機能と連携しないという選択肢はない。新型コロナ感染拡大を未然に防ぐということがそもそもの目的であり、合理的な判断をすべきだと私自身も考えた。

 厚労省と協力しつつ、テックチームが中心となってプライバシーへの配慮のあり方、グーグルとアップルが出してくる技術的仕様の評価、実際の公衆衛生の現場とアプリの機能をどう融合させていくべきかという議論を進めていた。

 衝撃を受けたのはグーグルとアップルから(5月4日に)出てきた仕様書だ。両社が提供する機能と連携するためのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を接続できるのは各国の保健当局に制限され、アプリの数も1国で1アプリと決められていた。

 こうした状況変化を受け、厚労省も「これはやるべきでは」という意識の変化が生まれた。新型コロナの感染者情報を一元管理する「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム」を開発する動きとも相まって、厚労省が接触確認アプリを運用する流れが生まれた。私自身も本来であれば接触確認アプリの開発・運用は厚労省が主導すべきだと考えていた。コード・フォー・ジャパンや楽天といった協力いただいた企業には大変申し訳なかったが、厚労省主導の開発、実装、運用に切り替えることになった。テックチームとしても技術的な支援を続けていく。