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新型コロナウイルスの影響で人の移動や接触が制限され、今まで以上にインターネットが欠かせなくなった。日本で最初に商用のネット接続サービスを始めたインターネットイニシアティブ(IIJ)の鈴木幸一会長兼CEO(最高経営責任者)は企業や社会の変化をどう見るのか。急速に広がるテレワークを題材に聞いた。

鈴木幸一(すずき・こういち)氏
1946年生まれ。日本能率協会を経て、92年にインターネットイニシアティブ企画(現在のインターネットイニシアティブ)を設立して取締役となり、94年に社長就任。郵政省(当時)と1年以上に渡って折衝、同年に商用のネット接続サービスを始めた。以後、企業向けの接続サービスだけでなく、セキュリティーやクラウドサービス、MVNO(仮想移動体通信事業者)など事業を拡大。現在、会長兼CEOを務める(撮影:古立康三)

新型コロナの影響で、テレワークが急速に広がりました。ネットがなかったら、社会はどうなっていたのだろうかと考えさせられます。

 30年近く前にIIJを創業した時から、「ネットという1つの空間に情報が集まり、同じ空間のなかで働いたり、活動したりするようになる」と言い続けてきました。ネットという空間や時間軸を共有していれば、会社であろうとリモートであろうと変わらない。膨大な情報がすべてネット上にあれば、どこからでも自在にアクセスできるわけです。しかし技術としては確立していても、なかなか社会に定着しなかったのが現実でした。今、新型コロナを背景にして抵抗感がなくなってきている。

新型コロナが終息してもテレワークは続くでしょうか。

 技術革新というのは不可逆的ですから、定着するでしょう。IIJにも、テレワーク関連のソリューションに対する引き合いがものすごく来ています。

 社員が何千人もいる会社でも、出社しなければ仕事にならないという人はほんの一部だったりする。IIJも社員数の増加に応じて、かなりのコストをかけてオフィスのフロアを広げてきたわけですが、そんなことはもう必要ないかもしれない。例えばオフィスをフリーアドレス制にすれば、空間的にはすごく助かります。コスト面ではすごくメリットがある。

 しかし、ネットのような抽象的な空間で働くのと、旧来の物理的な空間に集まるのとは、やはり何か違うと思いますね。