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今年4月に就任したセブン-イレブン・ジャパンの永松文彦社長(写真:加藤 康)

フランチャイズ加盟店での人手不足が深刻化し、24時間営業をはじめとしてビジネスモデルの再点検を余儀なくされるコンビニ業界。今年4月に就任したセブン-イレブン・ジャパンの永松文彦社長は、「本部と加盟店のコミュニケーション改革」を重点事項に掲げる。今後、加盟店オーナーとどのような姿勢で向き合うのかを聞いた。

4月の社長交代の会見で、永松社長は「加盟店とのコミュニケーションの強化」を前面に打ち出しました。役員が全国の店舗を回って加盟店オーナーの話を聞くという取り組みも発表していますが、どこまで進んでいるのでしょうか。

 千葉地区を皮切りに、役員たちと現場を回りはじめました。役員がそれぞれ担当地区を持ち、各80店ほどのうち4~5店の加盟店オーナーから現状を聞きます。1店当たり1時間から1時間半ほどかけて、経営課題を議論しています。本部と加盟店のコミュニケーションの主は現場のOFC(店舗経営相談員)から上がってくる報告ですが、自分たちで直接話を聞くことで、課題の温度感がよく分かるようになりました。

 2万店の加盟店と9000人の本部社員の間で、情報伝達が伝言ゲームのようになっていたという反省はあります。創業以来、トップから現場担当者に直接、本部の考え方を伝えることを旨としてきましたが、組織の規模が大きくなるとどうしても情報共有が希薄化してしまう。これが一番の問題だと考えています。役員が現場を回るのも、表敬訪問ではなくひざ詰めで話をすることが目的です。

一部の加盟店オーナーが長時間労働などの苦境を訴え、コンビニのビジネスモデルに対する批判も高まっています。実際にオーナーと話し合った結果、全体としてどんな認識を持ちましたか。

 2万店の中では、そうした主張はマジョリティーではないと思います。しかし、そういう声が上がることは重く受け止めなければなりません。フランチャイズビジネスでは、マジョリティーがどうかよりも1店1店がどうかということが大事です。オーナーに悩みがあれば真摯に改善します。

 ただ、私たちはフランチャイズビジネスである前に小売業です。商圏のお客様のニーズに応えるために、加盟店オーナーと一緒にビジネスをしているのであって、それに応えられなければ売り上げは減ります。契約期間は15年ですが、お客様の支持を得て15年、30年と店が存続するために、我々に何ができるかを考えなくてはなりません。「本部には商品や設備などに先行投資をして、加盟店をぐいぐい引っ張っていってほしい」という声も頂いています。

人手不足の現状をどう認識し、どのような方針で対処しようとしているのでしょうか。

 数年前からじわじわと人手不足が深刻化しているという認識はありました。セブン-イレブン・ジャパンはこれまでに人員の派遣や省人化設備の導入などの人手不足対策を発表していますが、もちろんこれだけでは終わりません。

 以前であれば、加盟店は採用する従業員を選べる立場でした。しかし今は逆に加盟店側が選ばれる時代です。フランチャイズビジネスでは、本部は全体で取り組んだ方がメリットのある商品開発や販促、設備の改善を担い、オーナーは地域で人を採用し、教育するという役割分担になっています。しかし今後は、ヒト・モノ・カネのうち、モノだけでなくヒトの部分に本部が入り込まなければなりません。人材確保に成功している店舗の特徴や工夫を学び、OFCが他の加盟店にアドバイスする。これにかなりのウエートをかける必要が生じてきました。