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 焼き肉店「牛角」や居酒屋チェーン「甘太郎」「土間土間」を傘下に収める外食大手コロワイドが大戸屋ホールディングス(HD)に対し、経営陣の刷新を求める株主提案をした。大戸屋HDは子会社化も持ちかけられており、いずれも拒否する姿勢を示している。コロワイド側の取締役候補には大戸屋HDの実質的な創業者である故・三森久実氏の長男であり、かつて大戸屋HDの常務取締役を務め、現経営陣との対立から2016年に会社を去った三森智仁氏も名を連ねている。一方、大戸屋HDの社外取締役には久実氏の実兄である三森教雄氏がいて、現経営陣を支持する立場だ。三森家がコロワイド側と大戸屋側とに割れるなか、大戸屋HD側の教雄氏が日経ビジネスの取材に応じた。

大戸屋HDの三森教雄社外取締役。実質的な創業者である故三森久実氏の実兄

三森さんご自身は大戸屋とどのようなかかわりを持ってきたのでしょうか。

三森教雄・大戸屋HD社外取締役:大戸屋は伯父の三森栄一が1958年に大衆食堂として東京・池袋に開業したのが始まりです。私も幼少期から夏休みは東京に行ったりしていたので「大戸屋」のことはずっと見てきました。その伯父から事業を引き継いだのが久実でした。私も大学は東京でしたから、上京して6年間は伯父のもとに下宿させてもらって、大戸屋の事業や味はよく知っていますし、弟の久実のこともずっと見てきました。

 83年に大戸屋は株式会社化しましたが、その時には私も出資しました。私自身、現在も1万4000株を持つ株主の1人です。「弟が心血を注いできた大戸屋を見続けたい」という思いから、久実氏の死後の2016年に社外取締役に就任しました。

三森智仁氏とその母親・三森三枝子氏(久実氏の妻)が2019年10月に大戸屋HDの発行済み株式の18.67%をコロワイドに売却したことが今回の買収提案につながりました。智仁氏らの一連の行動についてどう思いましたか。

三森教雄氏:まさか株を売却するとは思っていなかったですし、そうした行為に及んでほしくはなかったというのが正直な気持ちです。非常に残念というか。株主であり続けるからこそ、彼(おいの智仁氏)がまた大戸屋HDに戻ってこられる可能性があったのです。それを自らあきらめるような行動に出たのだと私には映りました。

 2年前に智仁が事業を始めた(智仁氏は18年に自身が社長を務めるスリーフォレスト社で高齢者向け外食宅配サービスを開始)と聞いて、弟(久実氏)にならって事業を興し、会社を大きくしてから再度大戸屋に復帰すればいいと思っていました。「株の売却だけはしてくれるな」と願っていたのですが、智仁が大戸屋を離れてからはしっかりと話し合いをしたこともないですし、母親の三枝子氏も私とは大きく考えが異なるように思えました。

株の売却は智仁氏の母親である三枝子氏の意向も強かったのでしょうか。