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米ブラウン大学で開かれたイベントに登壇する杜鵬教授(一番右、提供:スペイン・IE大学)

労働人口は年300万人ずつ減少

中国のシニア市場はどのくらい伸びそうですか。

 中国のシニア市場は2018年で年間3兆元にのぼるという推計もあります。レジャー、ケア、衣服、製品、栄養、エクササイズ、旅行の合計額で、我々はシルバー業界と呼んでいます。多くの家庭は毎月3000元は費やしていますが、長期ケアを受ける人は3000元以上支払っているでしょう。

 高齢者の社会参加をどうやって促すかという問題もあります。健康でかつ教育程度の高いシニア労働者の活用は中国の課題です。労働人口はまだ9億人いて、そのうち7億人が職に就いています。しかし年間300万人も減っています。日本、とりわけ東京では65~70歳ぐらいのシニアのタクシー運転手をよく見かけます。北京や上海では40代ばかりです。もっと労働者が必要なら、日本から学ばなければいけません。

 中国では2000年には、高齢者の半数は識字できませんでした。いま高齢者の非識字率は10%程度になっています。高齢者の17%が何らかのケアを必要としていますが、83%は自分を健康だと評価しています。我々は高齢者に対する偏った見方を変える必要があります。大多数は独立していて健康であり、前の世代の高齢者とは完全に違うということです。

中国は定年制度はどうなっていますか。

 今は男性が60歳、一般的に女性が50歳です。1951年からそうなのですが、男女で10年も違う。今後延長するなら、男性の60歳を、62歳か63歳にするところからでしょう。それに、まずは女性を50歳から60歳に引き上げなければいけません。

日本では、定年後も働き続けるライフスタイルが奨励されつつあります。中国ではどうでしょうか。

 より長く働く前提条件は教育程度が高く、健康であることでしょう。何かをしたい、自宅にとどまりたくないと思ってくれることが重要です。かつて高齢者の主要な仕事は孫の世話でしたが、今では老いた両親が孫の面倒を見るのは相当難しい。というのも、若いカップルの育児に対する要求を満足させることができないからです。だから高齢者も、自分の有意義な人生を過ごしたいと考えるようになってきています。