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 経済成長がピークアウトするより早く、急速な少子高齢化が進んでいる中国。都市部と地方部の格差も深刻な中、どのような対策を講じているのか。中国人民大学副学長で、高齢化が専門の杜鵬教授に聞いた。
杜鵬氏
中国人民大学教授、副学長
1963年北京生まれ。92年6月から中国人民大学教授、2017年7月から副学長。中国老年医学協会副会長、北京老年学協会会長。高齢化政策などが専門。

高齢化問題が専門ですが、中国以外の地域も研究しているのですか。

 主に中国の経済政策を研究していますが、インドやロシア、ブラジルのような発展途上国との比較もしています。経験から学ぶという目的で、先進国との比較もしており、日本や韓国については、長期的なケアと現地での成功例を研究しています。

日本の高齢化問題をどう見ていますか。

 初めて日本を訪れた25年前からほぼ毎年、会議に出席するため訪日しています。特別養護老人ホームや、高齢者のための活動、非政府組織(NGO)の取り組みなどを視察しました。2050年までに中国の高齢化率は現在の日本と似た状況になると思っています。つまり我々は今の日本を、2050年の中国として見ているのです。日本は高齢化に社会保障と長期の介護保険で備えており、我々は見習おうとしています。

2050年までに60歳以上が5億人を突破

日本と同様に中国でも人口の高齢化が進んでいます

 60歳以上を高齢者と定義すると、中国では2018年末現在で2億5000万人の高齢者がいて、人口の17.9%に上ります。65歳以上と定義しても1億6700万人もいます。しかも2050年までに、双方の数字が倍になります。60歳以上は5億人となり、2050年までに人口に占める比率は35%になります。日本は2050年に60歳以上人口が43%。今後、最も急速に高齢化する韓国は同年までに41%となります。高齢化率は2050年まで日本が1位で、4番目が韓国です。

 それらを踏まえると、中国は最もハイスピードで高齢化する国というわけではありませんし、将来的に最も高齢化した国になるわけでもありません。しかし、中国は単純に高齢者の人数で見ると、すべての先進国と比べても2030年までに最も多くなります。

 高齢化対策が待ったなしの状況ですが、日本ほど体制が整っていません。中国はとても急速に発展して社会保障の負担も増えましたが、年金では雇用主と負担を分け合う都市部の会社員と、農村の間で受け取れる額が違い過ぎる。次のステップはこの差を縮小することです。とりわけ、過疎地のレベルを引き上げなければいけない。