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川西氏:ビジネスモデル的には「リカーリング」という表現は否定しませんが、実際にペットを飼えばエサ代もトリミング代もかかります。そういった生活に入っていくことを考えると(リカーリングの導入は)自然なんですよ。

 つまり、aiboと共にする時間を買っていただく。そのための費用を受け入れてもらうかどうかです。新しいビジネスモデルを作るというよりは体験を重視した結果です。

最後まで現場は粘った

川西さん自身、aibo開発中に一番印象に残っていることは。

川西氏:何ですかね……。完成度を高めようとチームで頑張ったのは間違いない。ただ時間が迫ってくると現場は焦りますよね。自分の中ではギリギリまで頑張れるチームを作ったので焦りはありませんでしたが。普通だったらどこかで妥協しますが、本当に発売直前のギリギリまで現場は粘りました。

 現場のメンバーからすると「まだやるの?」と思ったかもしれません。ですが完成度が高くないと、「思い」は伝わりませんから。出し切っている踏ん張りの境界線をどこで区切るのか。開発責任者としては線引きをどこにするかが重要でした。僕自身、これまでソニーでエンジニアとして同じような経験をしているので、責任者として意図的にギリギリを狙いました。もちろんギリギリに耐えられるメンバーを集めていたからできたことですが。

ソニーはaiboのファンミーティングを全国で開催(写真は東京・銀座での開催時)

メンバーが応えてくれることで違う世界が見えてくると?

川西氏:そうですね。出し切れる、想像以上に持っていくという感覚は体験しないと分からない。そこはかなり意識していましたね。現場のエンジニアとの議論で「こうあるべきだ」という部分がずれることはなかった。妥協するか、最後までやりきるかで、送り出される商品の姿は変わります。

 しかも一度こうした経験をすれば、次もまた挑戦できるようになります。経験を積み重ねることがDNAになっていくと思うので、意識して指示していたと思います。

こだわり抜いて誕生したaiboはやはり100点でしょうか。

川西氏:サービスを前提にしているので100点ではないですね。完成した時点では100点だったと思いますが、日々進化していきますので。数年先を見据えて開発は進めていますからね。