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ソニーのAV商品はウォークマンを筆頭に、ユーザーが「らしさ」や「思い入れ」を持っていると思います。それでもaiboは他の商品とは違いますか?

川西氏:確かに思い入れは、これまでのソニー商品にも抱いていただきましたが少し違うのかなと。aiboの場合、モノに対する思いではなく、生き物への感情に近い。単純にモノ作りと言い切れない部分もある。それは、消費者の期待値でもあるので、裏切ってはいけない部分ですね。

 メカニカルな技術に加えて、AI(人工知能)のような最先端技術を組み合わせているので、エンジニアとしても興味深い商品です。これまでだとロボット単体で出していましたが、そこにサービスを組み合わせる。クラウドを含めて最初から用意したのも今までとは違います。

 ただ、こうした要素はあくまでも技術的、ビジネス的な観点での違いです。ユーザー目線ではやはり、ある意味で生き物として接していただいたのが大きいと思います。

過去の経験から「できる」と思った

aiboの開発責任者として苦労したことはありますか。

川西氏:開発期間も短かったので、サクッと進めた感じですね。ですので個人的には大変だとは思わなかった。技術的なチャレンジを含めて面白そうだとは思いましたしね。チャレンジングでしたが、過去の経験からこうすればできるだろうという思いもありました。

開発時に旧AIBOとの比較はあったのですか。

川西氏:過去と比較することはあまりなかったですね。(製造中止は)10年以上前なので技術も進化していますしね。

 ただ旧AIBOのDNAが何なのかは意識しました。以前に購入していただいた方も多いですし、期待値が高いことは理解していましたから。期待を裏切らないようにはしたいと思いましたね。

ソニーの川西執行役員はaibo復活へ「リアルな動きを求めた」(写真:吉成大輔)

旧AIBOのDNAは何だったのでしょうか。

川西氏:やはり四足歩行のペットなんですよね。その中でのふるまいとして、リアルな動きを求めていたと思います。

 さらに旧AIBOは、ピンクのボールに反応するなどいくつかの「お約束」がありました。こういった部分は意識的に踏襲しようとは決めました。

方向性が固まると後は悩むことはなかったと?

川西氏:そうですね。当然、細かい部分はいろいろありましたが、割とセオリー通りに開発は進みましたね。そう言うと簡単に聞こえますが、現場はもちろん大変だったと思います。例えば「目」の表現一つでもエンジニアは最新技術の導入を最後まであきらめませんでしたしね。

新aiboは売り切るのではなくサービスでも儲(もう)ける「リカーリングビジネス」を志向しています。ソニー全体が志向するビジネスですが、意識はあったのでしょうか。

川西氏:意識して「やるぞ」というよりも、そうするのが自然でしたね。
ハードを売るという考えは開発当初からそもそもなかったですから。体験をいかに売るかを考えていました。楽しんでいただくためには、売り切りの値付けではなく、サービスで対価をいただくという流れでしたね。