新型コロナウイルスの感染拡大が世界で止まらない。グローバルに事業を展開する企業にはどのような影響を及ぼしているのか。工作機械大手、DMG森精機の森雅彦社長に話を聞く。森社長は、ボーナス削減によって人件費を抑制することで黒字を維持するように努力しているとした上で、新型コロナの感染拡大が収束しても経済活動はこれまでのような水準には戻らないとの見通しを示した。

<span class="fontBold">DMG森精機 森雅彦社長</span><br> 1985年京都大学卒業、伊藤忠商事に入社。93年に森精機製作所(現DMG森精機)に移り、94年取締役、99年から現職。2009年には独ギルデマイスターと資本業務提携を締結(写真:竹井俊晴、以下同じ)
DMG森精機 森雅彦社長
1985年京都大学卒業、伊藤忠商事に入社。93年に森精機製作所(現DMG森精機)に移り、94年取締役、99年から現職。2009年には独ギルデマイスターと資本業務提携を締結(写真:竹井俊晴、以下同じ)

新型コロナウイルスの感染拡大でどのような影響が出ていますか。

森雅彦・DMG森精機社長(以下、森氏):もう、暇で暇で(笑)。海外出張に行けなくなってしまいましたから。これまで、年間120~130日、機中泊も入れたら150日ほど海外出張に行っていました。今年も2月20日にパリ、その後ボストンに行って日本に戻ってきたら、それ以降、感染が拡大して海外に行けなくなりました。

 今年は年間30回ほどの海外出張の予定を既に組んでいたのですが、3月だけで4回、4月は既に3回の海外出張がキャンセルになっています。さらに8月までキャンセルになりつつあります。

 学会や展示会が軒並み延期や中止になり、お客さんとの打ち合わせも全部ビデオ会議になっています。機械を日本から出荷する前の立ち会い検収も、高精細のカメラを何台も設置してビデオでやるようになりました。

 これまでは、とにかく“現場・現物”が大事だという考えで、海外のお客さんにも日本の工場に来てもらい、現場に立ち会ってもらっていました。しかし、今はそれができません。そこで、4月に奈良の工場に来ていただく予定だった英国のお客さんの立ち会い検収も、カメラのライブ映像を見ながらお互いにチェックするという方法に変わりました。5億円程度の複雑な機械でも、カメラの映像を見ながらチェックできるのです。

リーマン・ショック以上の経済危機という見方もあります。業績への影響をどのように見ていますか。

森氏:欧州の工場は4月いっぱい止めています。第1四半期の決算発表は5月12日に予定していましたが、5月28日に延期しました。

 今期はざっと、4半期ごとに1000億円程度、2020年12月期通期で4000億円の連結売上高を計画していましたが、移動制限の影響が出ています。第1四半期では、海外のお客さんのエンジニアが日本に来ることができずに工場での立ち会い検収ができなかったり、逆に海外のお客さんの工場に機械を納品していても日本からエンジニアを派遣できず、最後の調整ができなかったり。その結果、代金の残り10%をいただけないなど、計画通りお金が入らないという案件が発生しました。そうしたことが世界中で多発しています。

 ただ、第1四半期はそこそこでしたが、第2四半期は苦しいですね。黒字になるようにがんばっています。2月の2019年12月期の決算発表では、2020年12月期の予想は売上高4000億円に対して、営業利益200億円と発表しましたが、それはちょっと厳しそうです。

 ボーナスを減らすことで社員の人件費を10%くらいカットし、僕はボーナスをゼロにするつもりです。ドイツやイタリアは工場を1カ月止めても政府からの支援がしっかり出ますが、日本はみんなで耐えしのぎます。見本市などもなくなったのでマーケティング費用も減らせます。それで損益分岐点を下げて、それ以上の売り上げを確保しようと考えています。

 今期は受注残で2700~2800億円程度の売上高は確保できます。あとは、期中の成約、売り上げをグループ全体で1000億円くらい作れば赤字にはなりません。7月以降、どれくらい動きがあるかですね。

続きを読む 2/3 新型コロナが終息しても経済活動は2~3割は落ちたまま

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