<span class="fontBold">梅田圭(うめだ・けい)</span><br />1988年慶応大卒業、安田信託銀行(現みずほ信託銀行)入行。不動産ソリューション営業部長など、主に不動産畑を歩む。2016年執行役員、18年常務執行役員、20年4月から現職。54歳
梅田圭(うめだ・けい)
1988年慶応大卒業、安田信託銀行(現みずほ信託銀行)入行。不動産ソリューション営業部長など、主に不動産畑を歩む。2016年執行役員、18年常務執行役員、20年4月から現職。54歳

新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。経済への影響をどうみていますか。

梅田圭・みずほ信託銀行社長(以下、梅田氏):現在進行中の事態なので、どこまで感染が拡大して影響が長引くか、さまざまなシミュレーションをしていかないといけません。

 足元では、インバウンド(訪日外国人)の旅行者を対象にした観光業、旅館業、ホテル業、小売業で明確な影響が出ています。金融機関としては、そうした業種の企業への資金繰り支援をすることがまずは大前提です。金融システムに関しては、金融機関が比較的落ち着いた対応ができていますので、2008年のリーマン・ショックの時とは異なっており、金融危機が起きているとは言えません。

 信託銀行は、企業に不動産に関するコンサルタント業務をしています。これから、この分野で力を発揮できると考えています。一定額の融資を銀行から既に受けていて、これ以上の借り入れを増やしたくないと考える企業は多い。遊休化しているものの、実は価値のある不動産を活用したアセット型のファイナンスの提案を強化します。

 不動産を外部投資家に販売するケースや不動産を保有から賃借に変えるケースなどで、資金調達の一つの手段にすることが可能です。これから3月期決算を迎える企業が、今後の経営計画を策定する中で、こうした話を提案できる機会が増えるでしょう。

国内不動産市況の今後はどのようにみていますか。

梅田氏:私は、不動産マーケットを悲観的に見ていません。不動産市況はここ数年間好況で、12年ごろから右肩上がりでした。この時期はそもそも市況のサイクルからして調整が入るタイミングでした。それがなぜここ数年間は市況が良かったのか。それは不動産マーケットのプレーヤーが大きく変わったからです。

 従来は不動産ファンドが主なプレーヤーだったのですが、ここ数年は外国の大手機関投資家、政府が出資するソブリン・ウエルス・ファンド、もしくはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のような公的年金運用機関が長期運用目的で参入しました。不動産市況は、プレーヤーが変わるという構造的変化が起きたため、マーケットサイクルとは違った動きになったのが最近の傾向です。

 では、新型コロナ問題が起きて今後どうなるか。その見極めは難しいのですが、長期投資を狙いとする投資家が多い中、不動産投資を減らすことは今のところないと見ています。今、投資を一時やめて資金を現金化する動きは確かにありますが、機関投資家が資産運用して将来の年金支払いなどに備えなくてはならないため、マイナス金利環境下で手元に現金だけを置いておくことは難しいです。

どういった不動産が人気なのですか。

梅田:首都圏の独身の学生、サラリーマンが住むような1K、1Rの賃貸マンションです。ここの賃料収入は安定しているので、一気に不動産価格が落ち込むことはないと思います。オフィス、商業施設の収益は上下動がありますが、住宅はそうした動きが少なく、注目されています。不動産投資信託(REIT)価格は下がっていますが、グローバルな機関投資家はそこまで右往左往しないと思います。もちろん一定の安定した価格の中で、調整はあるかもしれませんが、大きなオーバーシュートの動きが不動産で見せることはないと思います。

次ページ 底堅いオフィス、賃貸住宅