ビデオ会議サービス「Zoom(ズーム)」を手掛ける米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの勢いが止まらない。1日の利用者は2020年3月で2億人と19年末と比べ20倍になった。新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業が在宅勤務に切り替えたうえ、学習や日常のやり取りでの利用が爆発的に増えた。ただし、想定外の利用者急増でセキュリティー面の問題も表面化している。これらの課題をどうクリアするのか。本社のあるサンノゼ市の自宅で指揮する、エリック・ユアンCEO(最高経営責任者)にセキュリティー問題の発覚後、日本メディアとして初めてインタビューした。

米ズームのエリック・ユアンCEO。米サンノゼの自宅からZoomによるインタビューに応じた。中国から米国に渡り、1997年にビデオ会議サービスの米ウェブエックスに入社。2007年に米シスコシステムズがウェブエックスを買収した後、11年までエンジニアリング担当役員を務めた。その後、独立してズーム・ビデオ・コミュニケーションズを設立した
米ズームのエリック・ユアンCEO。米サンノゼの自宅からZoomによるインタビューに応じた。中国から米国に渡り、1997年にビデオ会議サービスの米ウェブエックスに入社。2007年に米シスコシステムズがウェブエックスを買収した後、11年までエンジニアリング担当役員を務めた。その後、独立してズーム・ビデオ・コミュニケーションズを設立した
「Zoom(ズーム)」とは

 米カリフォルニア州サンノゼ市に本社を構えるズーム・ビデオ・コミュニケーションズが提供するクラウド型のビデオ会議サービス。従来のサービスに比べて、会議参加者がIDを取得する必要がない、さまざまな端末と接続できるなどの特徴がある。使い勝手や画質・音質の良さから利用者が増えた。

 2800人の従業員のうち半分が本社のある米国での勤務だが、中国拠点にいる数百人規模の開発陣を活用するのが同社の強みである。今回、カナダと米国間のビデオ会議をしていたユーザーが、データを暗号化する重要情報が中国のデータセンターを経由することを発見。会議の番号を手当たり次第に試し、第3者が会議に割り込んでくる不正行為などとともに問題視された。

 一連のセキュリティー問題に対し、米連邦捜査局(FBI)が警告を出したり、宇宙開発の米スペースX、カリフォルニア州の一部高校、台湾行政院やドイツ外務省などが利用を禁じたりした。米グーグルはデスクトップアプリを禁止し、Webブラウザーからの利用に制限した。また、セキュリティー問題の表面化で株価が下がったとして、株主がズームを提訴するなど、新たな動きも出てきている。

 こうした状況に、ズーム側も世界中の政府や企業に対して、セキュリティーがポリシーに合っているかどうかを判断するための情報を提供するなどしているという。

なぜここまでズームの利用者が増えたのでしょうか。

エリック・ユアンCEO(以下、ユアン氏):米国や日本など、もともと利用が多い国で特に伸び、ビデオ会議サービスでナンバー1のシェアと評価されています。19年末に1日約1000万人の利用だったのが、20年3月には2億人を突破しました。なぜか。それはサービスの品質と使いやすさ、そしてイノベーションを実現している点にあると思います。我々は皆さんのつながりの維持を助けられる立場にあり、それを光栄に思っています。

ここ最近のセキュリティー問題は何が根本的な問題だったのですか。

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