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 女性の課長職以上の管理職比率が12.4%(2018年末時点)のサントリーホールディングスは女性活用に力を入れている企業の1つだ。同社の新浪剛史社長は「女性が管理職に挑戦するチャンスをもっと提供する。働きやすい環境をつくるために投資もする」と語る。新浪氏が語る女性活用や働き方改革の要諦とは。
新浪剛史(にいなみ・たけし)氏
1959年生まれ。1981年慶応大学経済学部卒、三菱商事入社。2002年ローソン社長、14年5月会長。同年10月にサントリーホールディングス社長就任。産業競争力会議のメンバーも務めた。

サントリーの女性活用の特徴は何ですか。

新浪剛史氏(以下、新浪):意図的に女性の管理職登用を進めています。なぜなら、サントリーの商材であるコンシューマー商品の購入決定をする人は女性が多いからです。これまでは顧客層の中心が男性だった酒分野においても、ハイボールや酎ハイ類(RTD)で女性のお客様が増えてきました。昔はお酒を飲むのは男性が多かったので、サントリーは男性天国だったと思いますが、これからは商品開発や営業施策などに女性の感覚を取り入れなければなりません。

 例えば、女性のお客様が増えているRTDは事業トップを女性が務めています。もちろんチームに男性はいますが、女性の視点が入ることで、消費者のニーズがつかみやすくなり、売り上げ増加につながっていきます。うまくはまっていますね。一昔前は女性はチャンスさえ、もらえなかった。これからはもっとチャンスを提供します。それを生かすかどうかは本人次第です。

政府が女性活用を後押しするようになり、社員の中には「女性を優遇している」と感じる人もいるようです。

新浪:女性が上司になっても、部下には大勢の男性がいます。それらの男性社員を含めて周囲が納得できるように、女性管理職にも実績を厳しく求めます。げたは履かせません。実績があれば、部下は納得してついてくる。にわとりと卵ですよ。

 実績を出せずに、管理職としての能力が足りないと周囲が思った時点で、人はついていかなくなります。そうなると、本人が苦労して、ストレスで負けてしまう。だから、経営として無理な一線を越えないよう、適切な人材配置が必要です。丁寧に育てないといけません。

女性管理職の育成には時間がかかりますね。

新浪:本当は一気に役員を増やして、ロールモデルが欲しいという思いはあります。でも、慌ててやると、彼女たちにプレッシャーを与えて、育てようと思った果実がぱあになってしまいます。だから、課長、部長、役員というパイプラインを徐々に太くしなければいけません。