ラトビア外務大臣のエドガルス・リンケービッチ氏が日経ビジネスのインタビューに応じた。同国はバルト3国の1つで、ロシアとベラルーシに接する。ウクライナ危機で自国にも脅威が迫る中、「ロシアが我々を侵攻すると、夢にも思わないように最善を尽くしていく」と語った。

ロシアによるウクライナ侵攻はラトビアにとって驚きだったのでしょうか、それとも予想していたのでしょうか。

エドガルス・リンケービッチ、ラトビア外務大臣(以下、リンケービッチ氏):ウクライナ侵攻については、昨年11月ごろから誰もが議論していたことです。米国情報機関の警告や米国政府の動きを見れば、ロシアによる欧州への侵攻リスクは合理的に考えるとかなり高かったと思います。個人的には、侵攻が起こるとはとても思えませんでしたが。

ラトビア外務大臣のエドガルス・リンケービッチ氏(写真:ロイター/アフロ)
ラトビア外務大臣のエドガルス・リンケービッチ氏(写真:ロイター/アフロ)

今回の侵攻を受け、ラトビアの安全保障政策には何か影響がありましたか。

リンケービッチ氏:もちろんあります。第1にベラルーシのロシア軍駐留です。ロシアはベラルーシから爆弾やミサイルを運用していますが、ベラルーシは私たちの隣国です。ベラルーシにロシア軍が駐留しているのは、この地域の安全保障に変化をもたらしています。

 第2に、現時点ではロシア軍部隊のほとんどがウクライナに招集されて、平穏な状況ではないことです。戦略的変化が、刻一刻と状況を変えています。私たちは今ウクライナで欧州が長らく経験してこなかった戦争を目の当たりにしています。第2次世界大戦後、欧州が経験したことのない敵対的軍事行為の規模は、欧州全体とそれぞれの国の安全保障の優先順位を変えることになるでしょう。

ロシアによるウクライナ侵攻で、ラトビア経済にはどんな影響があるでしょうか。

リンケービッチ氏:誰もがその影響を受けると思います。欧州、ラトビア、日本を含め世界中にさまざまな形で影響が及ぶでしょう。エネルギー危機、物価上昇、穀物の供給の不安定化、そして多くの企業のロシア撤退――。今回の侵攻で、これら全てが世界経済に影響を与えることを明確に示しています。ラトビアはその一部でしかありません。

ラトビアはロシアとの関係性から他国よりもより影響を受けるのでは。

リンケービッチ氏:ラトビアとロシアの貿易の規模はそれほど大きくありません。30年前のラトビアの貿易は8割がロシアとでした。最新のデータでは、わずか8%です。もちろんロシアの天然ガスへの依存はありますが。

 ウクライナでは今この瞬間も人が亡くなっています。(経済的犠牲があったとしても)この戦争を止めるために、経済制裁やウクライナへの支援など何としてもやらなければならないことがあります。

ウクライナ難民へ労働市場を開放

ラトビアは現時点ではウクライナ難民を積極的に受け入れていますが、今後もウクライナ人に一時的な場所を提供するつもりでしょうか。ウクライナ人がラトビアで長期的に生活することも許容するのでしょうか。