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 みずほフィナンシャルグループが3月1日、独自のデジタル通貨を活用したスマートフォン向けの決済・送金サービス「Jコインペイ」を立ち上げた。加盟店での決済に使えるほか、ユーザー同士であれば手数料ゼロで送金できる機能も備えた。新興のフィンテックサービスが乱立する「レッドオーシャン」にあって、銀行ならではの独自性を打ち出すことはできるか。デジタルイノベーションを担当する山田大介・専務執行役員に聞いた。

山田大介(やまだ・だいすけ)氏
みずほフィナンシャルグループとみずほ銀行で専務執行役員(デジタルイノベーション担当)。1984年東京大学経済学部卒、日本興業銀行(現・みずほ銀行)に入行。産業調査部や営業担当役員、大企業法人ユニット長を歴任した。17年からはベンチャーキャピタルのWiLとみずほ銀行で立ち上げたブルーラボ(東京・港)の社長も兼任。58歳。

決済サービスは乱戦模様を呈しています。後発組としてどう違いを打ち出しますか。

山田大介・みずほフィナンシャルグループ専務執行役員(以下、山田氏):Jコインペイの強みというのは、銀行が提供しているがゆえの利便性なんですよね。最大の特徴は自分でチャージしたり他人から受け取ったりしたデジタル通貨を、銀行の預金口座に戻せること。しかも手数料はゼロです。

 そして送金。Jコインペイは加盟店における決済アプリの文脈で紹介されることが多いのですが、決して、お店で代金を支払うだけではないんです。送金ができると、いろいろと使い道が広がります。

たとえば。

山田氏:小口決済は劇的に変えられるはずです。たとえばお寿司屋さんが出前で寿司を運ぶとすると、いまは玄関口で代金を回収するでしょう。しかし配達スタッフに現金を持たせるのでは盗難のリスクがある。じゃあクレジットカードの読み取り端末を持たせるかっていうと、今度は重くて大変。Jコインペイを使えば、QRコードの印刷されたカードか何かを首からさげておけばいい。

 お寿司屋さんだけじゃないですよ。新聞の集金もそうだし、宅配便の運送会社だってそう。手数料ゼロで簡単に集金できるようになります。

学校の集金袋なくす

「現金の管理が大変」という場面は他にもありそうです。

山田氏:学校もそうですよね。遠足代を現金で集金袋に入れて、子どもに持たせていたりしていると聞きます。学校の先生は集金業務にかなり苦労しているそうです。Jコインペイさえあれば、学校の先生を現金の管理業務から解放できます。繰り返しになりますが、デジタル通貨として集めたお金は、手数料がかからずに銀行の預金口座に戻せるというのがポイントです。

 加盟店決済だけだと、サービスの広がりには限りがあります。もう一つの柱として送金機能があるからこそ、この基盤を活用してさまざまなアプリケーションを開発できる。この機能を武器にして、Jコインペイを他より頭ひとつ抜けた存在に育てていきます。