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 「冒険投資家」として知られるジム・ロジャーズ氏は「世界的な経済危機が遠くない」と警鐘を鳴らす。危機を乗り切るためには「誰かの言うことに単純に耳を貸しはいけない」とし、「歴史から大きなお金の流れをつかむべきだ」と強調する。

投資家のジム・ロジャーズ氏

世界の投資環境をどう見ていますか。

ジム・ロジャーズ氏(以下、ロジャーズ氏):米国株はこのところずっと上昇相場が続いてきました。しかし、これまでの株式市場を振り返れば、上昇局面がいつまでも続くことはありません。今の状況は終わりが近いと私は思っています。

 世界は債務が積み上がっており、これはいつか終わりを迎えなければならないのです。債務の大きさを考えると、次に起こる経済危機は私が人生でこれまで経験したことがないほど悪いものになる、と見ています。ソフトランディングする方法を見つけるのは難しいでしょう。

 市場が下がる予兆は小さなところから始まり、いろいろなところに伝播(でんぱ)していきます。リーマン・ショックのときはどうだったでしょうか。アイスランドが金融危機に陥ったとき、気に留めた人はそれほど多くなかったかもしれません。それが数カ月後にリーマン・ブラザーズが経営破綻し、たいへんなことが起きていると皆が気づきました。最近ではラトビアから危機が始まり、それがアルゼンチン、ベネズエラ、トルコに広がっていると見ています。今後、さまざまな市場に影響が及ぶでしょう。

歴史には一定のパターンがある

危機を乗り切るために投資家として心がけるべきことは。

ロジャーズ氏:歴史から大きなお金の流れをつかむことが大切です。どれほどたいへんなことも歴史をひもとけば同じようなことがこれまでに起こっていると知ったほうがいいと思います。場所やかかわる人は変わっても、やはり歴史は繰り返すのです。

 意外なくらいこのことは意識されていないと思います。バブル経済はこれまで何度も起きているのにもかかわらず、1980年代後半の日本のバブル経済のときには「日本は違う」と声高に叫ばれました。その結果は皆さんご存じの通りです。

 別の例を挙げると1990年代の終わりごろ、「インターネットは今まで起こったものと全然違う」とよく言われました。しかし歴史を振り返れば、1840年ごろには「鉄道は世界を変える、今までにないものだ」と言われていたのです。つまり、インターネットの影響がどれだけ大きくとも、歴史を見ればこれまでに同じような変化は起きているのです。やはり歴史を振り返ると一定のパターンが見えてきます。