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すぐに実現したのですか。

時国氏:いえいえ、とんでもないです。まずは、サッカーからしばらく離れて⼩太りになっていた⾝体を作り直すため、仕事の前後に練習しつつ、毎⽇10km⾛りました。再開当初は⾃分よりはるかに年上のおじいちゃんに抜かれるほど。併せて食事制限も行って、半年で12kg体重を落としました。

 この時、「いつかもう⼀度、台湾代表になる」という⽬標を⽴てました。オービスで働きながらFCエンフィールドでプレーするという「2⾜のわらじ」を履きました。1シーズンを終えた頃に会社から香港オフィスへの異動を言い渡された際には、⾹港リーグのクラブに直接電話してアプローチし、過去には名サッカー選手、ジョージ・ベストらもプレーした⾹港レンジャーズに入団しました。契約翌⽇に出場したリーグ戦でゴールを記録し、⾹港や台湾のサッカー雑誌に紹介されたこともあり、2015年11⽉には、モンゴルで開催されたFIFAフットサルワールドカップアジア予選の台湾代表として招集されました。ここで韓国を撃破するなどして東アジア予選を突破し、ウズベキスタンで開かれた最終予選に参加。私の「代表選手になる」という、誰も叶うと思わなかった大それた夢は、運よく2度叶うことになりました。

「サッカーと長期投資は似ている」

仕事とサッカーの両立のコツは何だったのでしょうか。

時国氏:(両方やるんだという)覚悟を決めたことだと思います。そしてこれは、株式の⻑期投資と似ているかもしれない。そう思っています。株価が⼤きく下がった時、多くの投資家は逃げ出す傾向がありますが、⻑期投資家は、本源的価値に確信がある限り、株を放り出さず持ち続けます。そしてむしろ買い増しします。周囲と反対の動きをしているという意味では、⼀⾒「逆張り」にも⾒えますが、実はしごくまっとうな話で、王道だったりする。同様の理念がオービスにはありました。「覚悟を決められるだけの準備をして、あとは⻑期的な視野を失わない」。この考え⽅があったからこそ、仕事をしながらサッカーも続けられたと思っています。

 16年8月の試合を最後に、台湾代表から離れ6年半ぶりに日本に戻ってきました。⽇本でのオービスの事業展開は、私のかねてからの願いです。なぜなら、⽇本の皆様にオービスが考える資産運用の正道を伝えることで、日本がもっと豊かな国になると思うからです。そして、何十年後になるか分かりませんが、いつか指導者としてサッカー界にも還元できたらと思っています。