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今いるオービス・インベストメントとの出会いも、英国でしたね。

時国氏:はい。ビジネススクールに⼊学後、ある⽇突然⼀通のメールが届きました。⽇本株アナリストとしての誘いでした。当初私はこの会社を「どこかの有報の主要株主一覧で⾒たことあるな」くらいにしか思っていませんでした。⾯接を受けるからには知っておかねばと、オービスのことを調べたのですが、調べれば調べるほど不思議な会社でした。

「何から何まで不思議な会社」

どのあたりが「不思議」でしたか。

時国氏:アラン・グレイが創業したこの資産運用会社の運用総額は約4兆円、そして1990年に設定した同社の旗艦ファンド、オービス・グローバル・株式ファンドのリターンは年率約14%。(世界の株式市場の動きを指数化したインデックス、MSCIの約6%を大きく上回る。)上場株のロング・オンリー(買い持ちだけ)で、同時期のウォーレン・バフェットのファンドのリターンに並ぶ高リターンを出しています。歴史も長く、規模もそれなりにあるのに、余り知られていない会社でした。

 組織理念について調べてみても、「運用成績が悪かった場合、運用報酬を投資家に返金する」「ファンドは売るものではなく、買われるべきものという信念から、ファンドの営業活動はしない」「ファンドの運用方針に賛同する投資家のみ受け入れる(ファンドが投資家を選ぶ)」等々、業界の常識とは乖離した哲学が多々見受けられました。謎のベールに包まれた会社でした。

 入社後、これが、オービスの「コントラリアン(周囲に影響されず自分の頭で考えて正道をいく)の発想」だと気づくのですが。オービスは、株価が本源的価値を大きく下回る会社に投資します。市場が悲観して更に株価が下がれば、株を買い増します。皆がいいと考える銘柄に投資するわけではありません。要するに、この会社はやることなすことすべてコントラリアンなのです。そして人材採用でも、コントラリアンを地でいくような人を求めていました。

まさに「適任」。

時国氏:面接では「チームワークと個人主義、どっちがいい」「何年をもって長期投資と考えるか」などの質問から、コントラリアンな思考を試されました。また、私の経歴のなかで「留学先に米国のブランド校ではなく英国を選んだ」「サッカーの世界に戻るために一度サッカーを辞めた」といったところが気に入られたとのことで、採用となりました。私の決して王道とはいえない人生も、役に立つときがきました。

オービスに来て再び、サッカー選手になったようですね。

時国氏: FAのコーチングライセンスを取得していた際、「選手としてやれるうちは選手としてやりたい。」と思うようになり、イングランドのFAナショナルフットサルリーグのセレクションを受け、「FCエンフィールド」というチームからオファーをもらいました。