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 東日本大震災の被災地の岩手県沿海部を走るJR山田線宮古─釜石駅の55.4kmが3月23日に「三陸鉄道リアス線」として8年ぶりに運転を再開する。これで2011年3月11日の東日本大震災で寸断された岩手県の久慈市から大船渡市までの163kmが鉄道で再び結ばれることになる。運行する三陸鉄道の中村一郎社長は、地域おこしをしながら鉄道運営を軌道に乗せる青写真を描く。

宮古駅~釜石駅間の55.4㎞が復旧し、日本最長の第三セクター鉄道となります。

中村一郎氏は岩手県盛岡市出身で、東京大卒業後に岩手県庁に。16年6月、三陸鉄道社長に就任

中村一郎・三陸鉄道社長(以下、中村):これまで8年の道のりを考えると感無量です。瓦礫に覆われた道路やガソリン不足で交通手段に困っていた地域の皆さんのお役に立てればと、震災5日後の3月16日から一部区間の列車運行を再開しました。国や関係自治体、全国の皆さんのご支援もあり、14年4月には北リアス線(久慈─宮古間)と南リアス線(釜石─盛間)の全線が復旧しました。

 最後に残っていたのが、JR山田線の宮古─釜石間。3月23日の開通で、三陸海岸を縦貫する路線が8年ぶりに通ることになります。これを機に、久慈から宮古、釜石、盛を結ぶ「三陸鉄道リアス線」として地域の皆さんの足として使って頂ければと考えています。

足元の業績は厳しく、2019年3月期も黒字転換できるか微妙な状況です。

中村:三陸鉄道の収入のほとんどは運賃で、通学に使う地域の高校生と高齢者が利用者の中心です。電車の中で地酒を飲む会の開催など、季節ごとに『イベント列車』を走らせ、なんとか地元の人にも乗ってもらう努力はしています。ただ、沿線の少子化は進む一方です。今のままでは、構造的に単独での黒字化は難しいのが実情です。

三陸鉄道リアス線の開通により、収益性は高まりそうですか。

中村:開通効果は期待できますが、新区間を走ることでスタッフも増やさないといけません。運転手を含めて30人ほど増やし、従来の4割増の110人体制にします。収入も増えますが、コストも上がるので、経常収支でのギャップはそれほど変わりません。