何でもノーノーというつもりはない

伊藤忠が最大の取引先であることのメリットもあるはずです。そこはどう考えるのでしょうか。

田中:伊藤忠に対して何でもノーノーというつもりはない。中国ビジネスでは安踏体育用品(ANTA)がデサントブランドの商品を、杉杉集団は(デサントが持つ)ルコックブランドの商品を売ってくれている。ANTAも杉杉もともに伊藤忠が紹介してくれた企業だし、うまくいっている。

 だが伊藤忠の持ってくる話がすべていいわけではない。そこは是々非々でやりたい、フリーハンドでデサントにとって一番いい選択をしたいと言っているだけだ。今後の取るべき施策については伊藤忠も当社も(考えていることは)ほとんど一緒。唯一違うのは伊藤忠が伊藤忠のネットワークを活用しようとしている、という点だ。もちろん当社もそのネットワークは使わせていただきたいが、少数株主の利益を毀損するのはダメだ、ということだ。

 商社とメーカーでは文化、風土、時間軸が決定的に違う。我々はモノづくりの文化、デサントイズムを持っており、長期的に物事を考えている。だが商社は投資リターンを早く求めがち。伊藤忠には我々の企業風土を理解してほしい。

TOB後はどんな話し合いをしたいとお考えでしょうか。

田中:利益相反を防ぎ少数株主の利益を毀損しない仕組みづくりについて、建設的な話し合いをしたいと思っている。デサントの企業価値が上がる仕組みについて話し合いをしたい。だから我々は独立した社外取締役が取締役会の過半を占める体制を提案した。だが正直、建設的な話し合いが現状ではできていない。

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