全2208文字

首都・東京の台所、築地市場が豊洲に移転して5カ月。築地場外では今も約500の商店が元気に営業を続けている。この街は80年以上にわたり、「内(場内市場)」も「外(場外市場)」も一体になって発展してきた。豊洲移転に伴う「内外」分離後の未来図をどう描いていくのか。活力を維持し続けることはできるのか。東京都による再開発の行方にも危うさが漂う中、「場内なき今」とこれからの展望について、築地場外市場商店街振興組合の鈴木章夫理事長に聞いた。

「場外」の今後について語る築地場外市場商店街振興組合の鈴木章夫理事長

築地市場(場内)が2018年10月6日に閉場して5カ月が経ちます。場外の客足に変化はありますか。

築地場外市場商店街振興組合の鈴木章夫理事長(以下、鈴木氏):そこまで変化はありません。売り上げの7~8割は、電話などで注文を受けて自社便や市場便で配送する業者さん向けでした。だから、場内が移転しても大きな変化がないのです。ただ、場内と場外両方に買い出しに来ていた業者さんにとっては、豊洲と築地に市場が別れたことでもちろん不便になる。そうしたお客さんが多かった店舗では、数%程度の売り上げの減少があるかもしれません。

もともと、場外の店舗は場内の豊洲移転には反対でしたね。

鈴木氏:そりゃ「場外」にとっては大誤算です。これまで場内と共存してきたわけですから。「移転せずに再整備すれば良い」。みんなそう思っていましたよ。豊洲市場にどんな機能を持たせるとか具体的な説明も東京都からはほとんどなかったですし。けれども、いつまでも反対していてもしょうがない。都にそっぽを向かれても困りますしね。

 確かに豊洲は日本一、いや世界一かもしれません。それは「流通センター」としてね。取扱量も多いし、広い。チェーン店を多く抱える外食産業や大型スーパーには便利だと思います。でも、小口のいろんな店舗で少しずつ買い物をしたい業者さんにとっては、正直、不便です。これまで一体だった機能が二分されてしまったのだから、結果として、豊洲市場にとっても移転は良いことではなかったと思いますよ。 

「外国人観光客、呼び込みへテコ入れ欠かせず」

築地市場の移転に伴って、「場外も閉場した」と勘違いする人もいるのでしょうか。

鈴木氏: 思ったほどいないようなので、ほっとしています。

外国人観光客も多くいますね。

鈴木氏:はい。土曜日は日本人の観光客も多いのですが、平日は圧倒的に外国からのお客さんが多いです。鶏肉や野菜といった食材はそんなに買われないのですが、包丁だったり箸や皿などの日本の食に関する商品がものすごく売れています。一度に何十万、それ以上買い物していく人だっているのです。

 もちろん、安泰とは思っていません。場内の移転によって機能がばらけたことで、利便性が失われたのは確かです。これまでのお客さんがこれから離れていく可能性だってなくはない。以前は放っておいても観光客の方は来てくれましたが、今後は方策をテコ入れして、観光客や地元住民の方々を場外に呼び寄せる必要があると考えています。