ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、欧米主要国や日本は国際決済網である国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの大手銀行などを排除することを決めた。今後の見通しや日本経済に与える影響について、欧州・米国・ロシアの経済の専門家である土田陽介・三菱UFJリサーチ&コンサルティング副主任研究員に聞いた。

欧米の主要国や日本がロシアの大手銀行などをSWIFTから排除すると決定しました。これが日本経済や日本企業に与える影響についてどのように分析していますか。
土田陽介・三菱UFJリサーチ&コンサルティング副主任研究員(以下、土田氏):足元ではSWIFTからの排除による影響以上に、「排除の決定」をきっかけとしたルーブルの下落が顕著であり、ロシアは通貨危機状態に陥っています。2月25日時点では1ドルあたり83ルーブル前後でしたが、3月1日には一時117ルーブル前後まで値を下げました。
これが意味するところはロシアの購買力の流出です。当然、日露間の民間ビジネスにも影響します。日本企業にとってロシア向けビジネスの規模の割合はそれほど大きくありませんが、これだけ購買力が流出すると、その影響はそれなりに出てきます。そもそもSWIFTからの排除によってロシアとの間の支払い処理ができないなどの理由でロシア向けビジネスは成立しない可能性が高い。
国内の日本海沿岸や北海道といった地域にはロシアの企業と取引がある水産会社や中古車輸出商社などが多くあります。大手企業ではなくても、地場の経済に一定の影響力を持つ企業も少なくないでしょう。ロシアとの通商関係悪化でそうした企業の業績も悪化し、日本海側などの地方経済がダメージを負うのではないでしょうか。
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