全3195文字

 ふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外したのは違法として、同市が高市早苗総務相に決定の取り消しを求めた訴訟の判決が1月30日、大阪高裁で言い渡された。佐村浩之裁判長は泉佐野市の請求を棄却し、国側が勝訴した。

 係争の発端となった返礼品だが、実は誰がいつ始めたのか判然としない。有力な一説として、2007年末の税制改正でふるさと納税の創設が決まった際に、当時、佐賀県知事だった古川康氏が、老朽化した文化財の修復に寄付を充て、お礼に見学チケットを配る計画を発表したのがスタートだともいわれている。

 いわば、返礼品の生みの親であり、旧自治省(現総務省)で地方税を担当し、知事時代にはふるさと納税の創設に動いた古川氏に、現在の思いを聞いた。

古川康(ふるかわ・やすし)
衆院議員。1958年佐賀県唐津市生まれ。82年に東京大学法学部を卒業し、旧自治省(現総務省)に入る。税務局固定資産税課課長補佐、同企画課課長補佐、自治大臣秘書官などを歴任。2003年に退官し、佐賀県知事選に出馬し当選。3期目の14年に辞職し、同年の衆院選に佐賀2区から出馬し当選。現在2期目。

佐賀県知事時代に、地方の立場でふるさと納税創設の旗を振りました。

古川康氏(以下、古川氏):地方の悩みとはこういうものです。保育や教育のサービスを提供しても、いよいよこれから稼いでもらう段階になると、都会に出ていってしまう。そして都会で勤め上げて、医療や福祉にお金がかかりがちな高齢者になって戻ってくる。一番稼いでいる時に、自分の故郷に貢献する方法がない。なんとかできないかと、全国知事会ではよく議論になっていました。 

 そこで、同じく自治省税務局の経験者である福井県の西川一誠知事(当時)と共に、創設に向けて活動しました。地域コミュニティーの会費のような性格を持つ住民税の一部を、今住んでいない自治体のために使うというのは、税理論上いろいろな課題はありますが、そこは寄付という形で整理すればいいのではないかと。

古川さんは返礼品の生みの親ともいわれていますよね。

古川氏:2007年12月に税制改正でふるさと納税の創設が決まり、故郷に限らずにどの自治体にもできる仕組みになりました。そこで、これは自分の好きな自治体の応援に使えるんじゃないかと思ったんです。法律や条例で決まった額を決まった相手に納めないといけないというのが税の基本です。一部ではありますが、自分が納税先を選べるというのは新しい行政と個人の形ではないかと思ったんです。

 佐賀県を選んでもらうためにどんな工夫ができるだろうかと県庁内で検討する中で、簡単なお礼の品のようなものを出してはどうかということになりました。佐賀県らしく、日ごろなかなか行けないところに行けるというのはどうかということになって、神埼市にある実業家・伊丹弥太郎氏の別邸「九年庵」の見学チケットを送ることにしたんです。

 そのころは返礼品目当てに、買い物代わりにふるさと納税をするようなことになるとは思っていませんでしたね。

  

それがいつのまにか全国で返礼品競争が過熱するようになります。

古川氏:あらあらという感じでしたね。