前編から続く】

外交ではロシアとの平和条約締結交渉が注目されています。前進させるためのポイントは何でしょうか。

安倍晋三・内閣総理大臣(以下、安倍):まず戦後70年間解決されなかった課題であるという重みを両国がかみしめる必要があります。同時に日ロが平和条約を締結することが地域の平和と安定に資するものであり、経済的発展にもつながっていくとの認識も重要です。日ロ両国が受け入れ可能な解決策でなければ、領土問題を解決して平和条約を締結するには至りません。プーチン大統領と私の手で両国が受け入れ可能な解決策に到達したいと思っています。1956年の日ソ共同宣言を基礎にできるだけ交渉を進展させたいです。

 また、対北朝鮮では日本人拉致問題の解決は私の使命です。あらゆるチャンスを逃さない決意で臨みたい。中国とは昨年10月の私の公式訪問で日中関係は完全に正常な軌道に戻りました。今年習近平主席を日本にお招きし、日中新時代を切り開いていきたいですね。

憲法改正論議が停滞していますね。

安倍:憲法改正は最終的には主権者である国民の皆さまが国民投票で決めるものです。だからこそまずは国会で各党が具体的な考え方を持ち寄り、議論することで国民的な議論や理解を深める努力を重ねていくことが求められており、選挙によって付託を受けた私たち国会議員の果たすべき重要な役割だと思っています。与党・野党といった政治的な立場を超え、できるだけ幅広い合意が得られることを期待しています。

長期政権で求心力の維持が大きな課題になりそうですね。

安倍:求心力とはやるべき政策課題をしっかり掲げ、それを実行していく強い意志を示していくことによって生まれてくるのではないでしょうか。今後もこの間の経験や国際社会で培ったネットワークも生かし、内政、外交で結果を出して国民の負託に応えていくつもりです。

(写真:的野弘路)
(写真:的野弘路)

衆参同日選の臆測も出ていますが、参院選では何を有権者に訴えていくのでしょうか。

安倍:参院選は政権への中間評価の意味合いを持ちます。選挙で勝利を収めることができるかどうかは政策を進めるうえで極めて重要です。参院選は新たな国造りを進めていく基本的な考え方を問う選挙にしていきたい。外交では戦後外交の総決算を目指すという外交方針を問うことになると思うし、アベノミクスを今後も力強く進めていくための選挙にもなると思います。

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消費税率引き上げ、景気減速懸念への対処、人材不足解消への施策についてなどを含めたインタビュー全文は「[全文掲載]安倍首相、単独取材「日本が自由なデータ流通圏を主導する」」でお読みいただけます(要会員登録)。

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