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(写真:的野弘路、以下同)

安倍晋三首相が本誌の独占インタビューに応じ、国内外の懸案に臨む胸の内を語った。今年は皇位継承、大阪でのG20首脳会議、参院選など国内で重要イベントが続く。米中「新冷戦」などで国際協調体制が揺らぐ中、日本の外交力が問われる1年でもある。(聞き手は本誌編集長 東昌樹)

政府はあらゆる課題をデジタル化で解決する「ソサエティ5.0」の実現を掲げています。日本の競争力を再構築する狙いでしょうか。

安倍晋三・内閣総理大臣(以下、安倍):その通りです。世界は第4次産業革命の真っただ中にあります。AI(人工知能)、ビッグデータ、ロボットなどのイノベーション(技術革新)には少子高齢化など社会課題を解決する大きな可能性があります。ソサエティ5.0を世界に先駆けて実現することが我が国の未来を開く成長戦略です。経済界と力を合わせて取り組んでいきます。

AI時代、データは新たな資源

 そのために交通、医療、教育などあらゆる分野で既存の規制を見直していきます。国際データ流通圏の構築など新しい時代のルール作りも世界に先駆けて進めていきます。最先端技術の活用で生産性を飛躍的に高め、世界の需要を取り込んでいくことで、日本はまだまだ成長できるはずです。

企業などが保有するデータをどう有効活用していくのかが企業や国の競争力を左右する時代になりましたね。

安倍:世界を駆け巡るデータはこの10年で15倍に拡大しました。データはAI・ビッグデータ時代の新たな資源です。ソサエティ5.0時代のイノベーションの源泉でもあります。そのため熾烈な争奪戦が世界で繰り広げられています。データを活用したイノベーションを起こすためには自由にデータが流通する環境を整備しなければなりません。

 しかし、それには信頼に裏打ちされたシステムが必要です。プライバシーやセキュリティーを確保しつつ、公正かつ互恵的なルールの下で、自由で開かれた国際データ流通圏を日本が先頭に立って世界に広げていく考えです。

 サイバーセキュリティーを確保するうえでは、情報の窃取、破壊、情報システムの停止など悪意のある機能が組み込まれた機器を調達しないようにすることが極めて重要となります。

米中貿易摩擦など自由貿易体制が揺らぐ中、日本の果たすべき役割は。

安倍:日経ビジネスは創刊50周年を迎えるそうですね。WTO(世界貿易機関)は誕生から四半世紀が経過しましたが、世界経済は国境がなくなり相互依存を深めています。新興国は目覚ましい経済発展を遂げ経済のデジタル化が一気に進展しました。自分は取り残されるのではないか、不公正な社会となっていくのではないかとの不安や不満が時に保護主義への誘惑を生み出し、国と国の間に鋭い対立も生み出しています。

 だからこそ自由貿易の旗を高く掲げなければなりません。公正なルールを打ち立てることで自由貿易を深化させていくべきだと考えています。こうした不安や不満に対応していかなければグローバル経済をさらに進めていくことはできないのです。TPP11やEUとのEPA、さらに中国、インドなどが参加するRCEP(東アジア地域包括的経済連携)などを通じて自由で公正な経済圏を世界へと広げていくことが我が国の使命だと考えています。

インタビュー全文の詳細版

後編に続く】

消費税率引き上げ、景気減速懸念への対処、人材不足解消への施策についてなどを含めたインタビュー全文は「[全文掲載]安倍首相、単独取材「日本が自由なデータ流通圏を主導する」」でお読みいただけます(要会員登録)。