年の暮れも押し詰まる中、12月31日まで可能なふるさと納税の納税先にまだ頭を悩ませている人も多いかもしれない。そんな中、衣料品販売サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOの創業者、前澤友作氏が台風15号で大きな被害を受けた千葉県館山市に20億円をふるさと納税として寄付したことが話題となっている。

ZOZOの創業者で前社長の前澤友作氏は千葉県館山市にふるさと納税として20億円を寄付した(写真:つのだよしお/アフロ)

 館山市は2019年9月の台風15号などで大きな被害を受けた。暴風で瓦が吹きとばされ、屋根をブルーシートで覆った住宅の映像を目にした人も多いだろう。館山市でも住宅に被害を受けた住民は多く、同市は12月下旬まで避難所を開設し、被災者に対応した。同市によると、残った避難所の片づけは「12月26日に始まる」(社会安全課)。台風の爪痕はまだ深く残っている。

 ふるさと納税仲介サイト最大手の「ふるさとチョイス」によると、同サイトを通じて集まった、9月の台風15号で被害を受けた自治体向けのふるさと納税は4億2000万円強。その後、10月に東北や関東を中心に被害をもたらした台風19号と台風21号の被災地を支援する目的では8億7000万円あまりが集まっている。

 16年の熊本地震で同サイトが集めた約19億4000万円には及ばないが、「被災地支援の仕組みとして認知度が高まっている」と、ふるさとチョイスを運営するトラストバンク(東京・目黒)の担当者は手ごたえを感じている。

 こうした被災地支援のためのふるさと納税では、通常のふるさと納税と異なり、返礼品がない。館山市の19年度予算の歳入の1割を超える額を寄付した前澤氏も今回のふるさと納税では館山市からの返礼品を辞退している。ちなみに、もし仮に前澤氏が返礼品を受け取ったとすると、1万円の寄付で受け取れるソーセージなどの詰め合わせだけなら130トン、びわだと300万個になる。

 仲介サイトも被災地支援のふるさと納税では手数料を取っておらず、自治体側も寄付額の3割以下とされる返礼品の負担がない。被災した自治体が全額を使えるというわけだ。

 寄付をする側にとっては、寄付後の手続きは通常のふるさと納税と変わることがなく、所得に応じて所得税や住民税の控除の対象となる。とかく返礼品の内容、節税対策の一環として話題となることが多いふるさと納税だが、応援したい自治体への「寄付」という本来の制度設立の趣旨に立ち返れば、被災地支援の枠組みとして使うのはそれにかなったものといえる。

 まだ納税先を決めかねている人は、日本列島が災害に見舞われた1年を振り返り、ふるさと納税で被災地支援をしてみるのも一手かもしれない。

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