19年12月に開いた記者会見で内田誠社長と握手する関潤氏(右)(写真:AP/アフロ)
19年12月に開いた記者会見で内田誠社長と握手する関潤氏(右)(写真:AP/アフロ)

 日産自動車は12月25日、関潤・副最高執行責任者(副COO)が退社すると発表した。関氏から申し出があり、日産が同日までに受諾した。日産プロパーの関氏は経営再建と商品戦略の執行責任者で、再生を目指す同社のキーマン。12月1日に「トロイカ(3頭体制)」として発足した日産の新経営陣はさらに険しい道のりを進むことになった。

参考:日産、新経営陣に「トロイカ」リスク

 関氏は来年2月にも日本電産に入社する。次期社長含みという立て付けで、永守重信会長CEO(最高経営責任者)の後継者の道も視野に入る。ただ、日産の他の経営陣にとっては想定外の出来事だ。同社の内田誠社長は「ワンチーム」をスローガンに掲げ、ルノー出身のアシュワニ・グプタCOO、関氏とのトロイカを陣頭指揮の前提としていた。

 人事を決めた同社の指名委員会がもともとなかった「副COO」を設けた理由は、日産社内での関氏への人望が厚いからだ。防衛大学校を卒業した関氏は1986年に日産に入社。生産の現場を渡り歩き、中国の合弁会社である東風汽車の総裁も務めた。ある関係者は「3人の中でも最も日産社内を掌握し、将来的なビジョンがある」と評していた。

 次期社長の候補にも上がったが、筆頭株主である仏ルノー側との関係がネックとなった。「日産のルノー化」をもくろむルノー筆頭株主のフランス政府からすれば、日産色が強い関氏がトップでは具合が悪い。ただ、社内を落ち着かせるための「制御装置」(関係者)としての役割は必要だ。それ故、リストラと商品企画という重要分野を任せたわけだ。

 ただ、関氏はその待遇に満足できなかった。12月2日の新体制発足の記者会見では「当社は売る現場と経営陣の間に大きな隔たりがある。これを少しでも詰めるため、努力をしていきたい」と語っていたが、5つ年下の内田氏が社長では、自らの進路が見えないとの思いがあったのだろう。結局、日本電産の永守会長からのラブコールに応じる形でわずか1カ月での辞任を決めた。

 困ったのは日産の経営陣だ。「プロパーの星」の離脱で現場からの求心力低下は避けられず、全社の1割弱にあたる1万2500人を削減するという再建策も浮いてしまいかねない。20年2月18日に予定する臨時株主総会で、関氏に代わる取締役候補を立てる必要もある。ルノーからの独立維持を考えれば、日産派が「1減」ではバランスが取れないからだ。

 ♪~響け若人の歌 高鳴れバイヤン 走れトロイカ軽やかに 粉雪けって~♪

 日本語訳では陽気なロシア民謡「トロイカ」の原曲は、恋人を奪われた御者の悲しみを歌った曲だ。日産を引く「2頭」となった内田氏とグプタ氏の負担は大きくなる。くしくも今日はクリスマス。再建に向けてようやく飛び出した日産にとって、このプレゼントは重く響くかもしれない。

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