「顧客からもらった要望を解きほぐして、問題として設定していくところが一番重要だ」。2020年1月に「量子コンピューティング推進室」を設置するNEC。CTO(最高技術責任者)を務める西原基夫取締役執行役員常務は、新組織を置く意義をこう語る。次世代の超高速計算機として期待される量子コンピューターの利用が広がる時期に備えて、どのように活用すべきかの知見を蓄える競争が激しくなってきた。

 既存のコンピューターでは計算時間がかかり過ぎて解けない問題を、1と0の重ね合わせの量子状態を使った計算によってごく短時間で解いてしまう量子コンピューター。汎用的な計算に使える「ゲート式」と、膨大な組み合わせから最適解を見つけ出す用途に特化した「アニーリング式」の2方式がある。

 米グーグルや米IBMが開発を進めるゲート式では、2019年10月にグーグルが「量子超越」を達成したと発表し、期待が一気に高まった。ただし、現実の課題を解くコンピューターとして使えるようになるまでには10年以上かかるとの見方が一般的だ。

 そんな「夜明け前」の量子コンピューターの分野で、NECは1999年に超電導量子ビット素子を世界で初めて開発するなど先駆者と言える存在だ。当面はアニーリング式を中心に事業化を進める。その中核となるのが、産業技術総合研究所などと開発中のアニーリング式量子コンピューター。2023年の商用化を目指している。

NECは産業技術総合研究所などとアニーリング式の量子コンピューターを共同開発している

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