キリンビールと米クラフトビール大手ブルックリン・ブルワリーが共同出資するブルックリンブルワリー・ジャパンは2020年2月、クラフトビール店「B(ビー)」をオープンする。ブルックリン・ブルワリーはニューヨークのブルックリン地区で1988年に誕生したクラフトビール会社だ。ブルックリン地区以外で世界旗艦店という位置付け。日本の店舗では約20種類のクラフトビールを取り扱う予定だ。

 開業に先立ち12月19日にメディア向けの内覧会が開催され、登壇したブルックリン・ブルワリー社長のロビン・オッタウェイ氏は「4~5年前から出店構想を練っていた。旗艦店であるため慎重に決定した。東京は今後の展開を決める重要な位置づけだ」と語った。

キリンビールと米ブルックリンブルワリーは、ニューヨーク・ブルックリン地区以外で初の店舗を、東京・兜町に開く。開業を前にして会見に臨むキリンビールの布施孝之社長(中央)と、米ブルックリン・ブルワリー社長のロビン・オッタウェイ氏(右)、ブルックリンブルワリー・ジャパンの平岡敬規社長

 キリンホールディングスは、クラフトビール強化の姿勢を鮮明にしている。 14年にクラフトビールブランド「SPRING VALLEY BREWERY」を立ち上げて本格的に参入。同年にはヤッホーブルーイングと資本業務提携もしている。

 17年には飲食店向けのクラフトビール専用サーバー「タップ・マルシェ」の展開を開始。各地のクラフトビールをペットボトルに入れてサーバーに装着する仕組みで、現在27~28種類の取り扱いがあるという。比較的容易に店舗に導入できる仕組みが受け、クラフトビール専門店以外の飲食店にも販路が広がり、現在、1万3000店がタップマルシェを導入している。19年11月には、米クラフトビール大手、ニュー・ベルジャン・ブルーイングを買収すると発表し、縮小する国内ビール市場に対してクラフトビールで戦う意思を示した。

 クラフトビール事業強化の流れの中で16年に資本業務提携したのが、米ブルックリン・ブルワリーだ。キリンビールはブルックリン・ブルワリー株の24.5%を取得し、17年には、キリンビールが60%、ブルックリン・ブルワリーが40%出資する合弁会社ブルックリンブルワリー・ジャパンを設立。日本国内での販売を担っている。

 今回の旗艦店は、東京証券取引所があり、証券会社が多く集まる東京・兜町にオープンする。ビジネスパーソンが多い地域と、若者にファンの多いクラフトビールの組み合わせは意外だ。その理由について、ブルックリンブルワリー・ジャパンの平岡敬規社長は「兜町はこれから再開発が進む予定で、若い人も増える。再開発プロジェクトの一環として、我々も貢献していきたい」と話した。

 22年には兜町にほど近い茅場町駅直結の高層ビルが開業予定だ。飲食店やオフィス、株主総会なども開けるホールが入る複合施設になる。「ビー」が入る建物も渋沢栄一ゆかりの旧第一銀行で、同じ建物にはホテルなども入居する。

 金融の街である兜町で、キリンビールはクラフトビールの成長を描けるか。キリンビールの布施社長は、「クラフトビールは普通のビールに比べて利益率の高い商売で、一定の量を超えるとぐっと成長するビジネスだが、今のところはまだその段階までいっていない」と話す。「ビー」はキリンの今後を占う試金石の1つになりそうだ。

■変更履歴
記事中の「スティーブ・ヒンディ氏」は「ロビン・オッタウェイ氏」の誤りでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2019/12/20 17:20]

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