日本郵政グループのかんぽ生命保険で、顧客が不利益を被る保険契約が多数見つかった問題で、外部弁護士からなる特別調査委員会の報告書が18日、公表された。報告書を作成した委員会の会見に続き、郵政3社長も会見を開いた。しかし、会見は報道陣からの質問が続く中、2時間20分で強制的に打ち切られた。長門正貢・日本郵政社長ら経営陣は怒号が飛び交う中で会見会場から退出した。

12月18日に開かれた記者会見で頭を下げる(左から)日本郵便の横山邦男社長、日本郵政の長門正貢社長、かんぽ生命の植平光彦社長(写真:共同通信)
12月18日に開かれた記者会見で頭を下げる(左から)日本郵便の横山邦男社長、日本郵政の長門正貢社長、かんぽ生命の植平光彦社長(写真:共同通信)

 特別調査委員会の報告書では不適切販売が起こった原因、とりわけ保険販売員が不適切販売に手を出したきっかけや理由に焦点が当てられた。不適切販売のやり方が社内の勉強会や研修で共有されていることや、販売目標の達成に大きく貢献している優秀な販売員を厚遇するあまり、不適切な販売手法を黙認したり、正当化したりする風潮があったことなどが明らかになった。

 一方で、高い販売目標を達成できず、同僚や上司に迷惑をかけることを恐れるあまり、不適切販売に手を出してしまった販売員もいることが分かった。また、こうした保険販売の現状を長きにわたり放置してきたかんぽ生命をはじめとする日本郵政グループのリスクに対する感度の低さや問題を矮小(わいしょう)化する組織風土も不適切販売の原因になったとした。

 不適切販売を黙認する保険販売現場の実態が調査で判明したのは問題改善に向けた大きな一歩といえよう。問題は、特別調査委員会の調査結果をかんぽ生命や販売代理店の日本郵便、そして持ち株会社の日本郵政がどれだけ改善に生かせるかだ。

 しかし、郵政3社長の会見はこうした期待を裏切る内容となった。「先ほど調査委員会から報告書を受け取ったところだ。まだすべてに目を通せていないので、報告書に記載されている詳細については答えられない」。会見の冒頭、長門社長はこう断りを入れた。「朝から取締役会が続いていて、報告書を読む時間がなかった」とのことだが、なぜ報告書をきちんと読んでから会見に臨まないのか、疑問が残る。

 経営責任についても「経営責任の果たし方は色々ある。しっかり報告書を読み、理解して整理したい。金融庁の行政処分なども踏まえ、しかるべきタイミングで報告したい」と、言及を避け続けた。

 記者の質問と日本郵政の回答がかみ合わないケースも目立った。記者から何度も質問が出たのが、かんぽ生命、日本郵便、日本郵政の取締役会がなぜ機能しなかったのかというガバナンス上の問題だ。6月の問題発覚以降、何度も聞かれている質問であったが、この日も要領を得ない説明が続いた。「乱暴に言えば事件は現場で起こった。それをかんぽ生命、日本郵便の社長ですら経営問題として把握できなかったのだから、持ち株会社の取締役会で知っていたのかと言われると認識できていなかった」(長門社長)

 対策として、現場から情報が上がってこない体制を改善すべく、部門間の連携を密にするための連絡会を新設したという。また郵政グループ経営陣が集まる会議の場で、問題を共有したり、議論したりする機能を強化していくという。現場社員との間の風通しを良くするために、金融営業専用の社内通報窓口を設置することも明らかにした。

 だが、今後の取り組みを語る前に「不適切販売に関する情報が取締役会で問題にならなかったのはなぜか」を徹底的に追究しなければ、何も変わらないのではないだろうか。情報が組織のどこでストップしてしまったのか。保険の契約内容の内訳、かんぽ生命に寄せられた苦情の件数の推移など、不適切販売の兆候を示すデータは外部からの指摘以外にもたくさんあったのに、なぜここまで問題把握に時間がかかったのか。経営陣は本当に不適切販売の実態を事前に把握していなかったのか。問題発覚から半年以上たっているにもかかわらず、こうした従前の疑問に対して、明らかにされることは今回もなかった。

 「(今回は)案件調査の報告です。会見は2時間やりました。後ほどヒアリングしますので、個別の担当者にあとの質問はしてください」。長門社長はこう言い残し、会場を去った。

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