トヨタ自動車は2020年1月から定額制のサブスクリプションサービス「KINTO(キント)」のメニューを拡充する。ラインアップに16車種を追加し、割安に利用できる「中古車版」も新たに設ける。19年2月の事業開始後、11月までの申し込みは951件にとどまっているが、キントサービスを手がけるKINTOの小寺信也社長は「手応え」を口にする。

 キントは毎月定額を支払えば一定期間で新車を乗り換えられるサービス。例えば「KINTO ONE(キントワン)」では、3年ごとにトヨタ車を交換できる。頭金が不要で、任意保険や車両メンテナンスの料金も基本料金に含まれる。ウェブからの申し込みもできる新たな自動車の利用方法として、19年2月から東京で実証を始め、同7月からは全国の販売店に導入している。

 現在は全国の約5000の店舗で利用を受け付けているものの、認知度は2割に満たず、小寺氏も「お客さんの反応があまり良くなく、事業としては苦しんでいる」と打ち明ける。今後の見通しも「収益化には程遠く、(損益の分岐点となる)具体的な数値も持っていない」(小寺氏)。ただ、その一方で「実際に使った人のサービスへの評価は高い。手応えを感じている」(同)と話す。

 売上高30兆円のトヨタグループの中で、キントには大きく2つの役割がある。1つは新たな「トヨタファン」の開拓だ。11月までのキントの契約者は、18~29歳の若年層が約2割を占めた。トヨタの主要顧客は30代以上とみられ「これまで捕捉できていなかったお客様にリーチできている」(同)。ウェブで申し込んだ利用者の約7割が、これまでトヨタ車に乗っていなかった新規客だという。

 もう1つは「販売店での売り切り」にとどまらない、新たな顧客との接点づくりの模索だ。車との関わり方が「保有」から「利用」に変わるとされる中、キントはその解を探る1つの手段といえる。「車との間に距離がある人にも、車が楽しいものだと思ってもらえる仕組みで、これができているのはトヨタグループでも我々だけ」と小寺氏は胸を張る。

 業界をけん引するトヨタならではの「余裕」だが、今後のカギを握るのはやはり認知度だろう。テレビCMを強化する以外に、トヨタが注力するのがメニューの拡充だ。月額1万~2万円を想定する中古車版や、3年で3台を乗り換えられるプランなどを設定し、自動車を気軽に使ってもらえる環境づくりを目指す。

 トヨタは2020年5月から、4系列ある販売店のすべてで全車種の取り扱いを始めるなど、国内の販売改革を加速している。協力店も含めた販売店は全国に約6000あり、従業員は約11万人。いつまでも赤字というわけにはいかないが、「ハードルの低さ」が売りのキントはこれらのリソースを活用する「入り口」にもなる。

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