血液1滴から肝機能やコレステロールなど、一般の血液検査で測定する7項目をほんの5分程度で検出する検査装置を開発した日本企業がある。岩手県盛岡市に本社を置くセルスペクトだ。このほど実施した資金調達では米保険大手アフラックのベンチャーキャピタルであるアフラックベンチャーズやサウジアラビアの商社アブドゥル・ラティフ・ジャミールなどが応じた。セルスペクトが目指すビジネスとは。

 セルスペクトが開発したのは多項目の同時測定が可能な次世代型POCT(Point Of Care Testing)血液検査装置だ。1滴40μLの血液をチップの上に載せると、自動的に血清だけが分離され、7つに分配されて各スポット上の試薬と反応。小型カメラを備えた装置に入れて試薬の色から数値を読み取る。これを用いれば、肝機能に関わる「ALT」「AST」「GGT」、脂質に関わる「TG」「HDL」「LDL」、血糖に関わる「Glu」の数値を5分程度で測定できる。既に2018年に「クラスI」の医療機器としての届け出も済ませた。

検出用の装置。CMOSセンサーでチップ上のスポットを読み取る
血液測定用のチップ。40μLの血液を載せると、5分程度で7項目を同時測定する

 「遠心分離を行わずに、数分間で血液から血清を分離できるようになったのが技術的なポイントだ」と同社取締役の小出和弘氏は語る。試薬の色から数値を読み取る仕組みなどは「既存の技術を用いたシンプルなもの」(小出氏)という。現在はより多くの項目を同時に測定するチップの開発や、検出する装置の小型化などを進めている。

 注目すべきはそのビジネスモデルだ。安価で迅速な検査システムを開発できたことから、同社では利用者に無料で血液測定を行い、匿名化した解析データをヘルスケア関連企業などに提供するビジネスモデルを目指す。

 2018年夏からは、岩手県紫波郡矢巾町に本部を置く薬局チェーンの薬王堂と提携して、薬局の店頭で無料の血液測定を実施する実証実験を行ってきた。日本では医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師を責任者として検体測定室の届け出をすれば、自己採血による検査を提供できるため、これまでにも薬局店頭で血糖値(HbA1c)などを測定するサービスが広く行われている。

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