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(写真:PIXTA)

 萩生田光一文部科学相の「身の丈に合わせて頑張って」発言を機に英語の民間試験活用が見送られた、2020年度の大学入試改革。年の瀬が迫る現在、センター試験に代わる「大学入学共通テスト」の国語と数学で予定されていた「記述式」問題は導入延期の公算が大きくなっているものの、なお結論が出ない状況が続く。

 対象となる現高校2年生にとって刻一刻と入試までの時間がなくなっていく中、自民党や公明党も延期の検討を求める提言書などを提出。萩生田文科相は「年内に方針を固めたい」と記者会見で述べているが、何が問題となっているのか。

 課題として、真っ先に挙げられるのが、採点者によって点数のばらつきが生じかねず、自己採点が難しい点だ。

 記述式の採点業務は、大学入試センターからベネッセホールディングスの子会社「学力評価研究機構」が受託している。

 同社が11月に公表した準備状況に関する資料によると、設問ごとに3人以上が採点に携わる。基本的な採点手順はこうだ。まず、2人がそれぞれ採点し、採点結果が一致する場合は3人目が採点結果の正しさを確認。2人の採点結果が異なる場合は、さらに別の採点者が採点するなどの手順を踏むという。

 採点者は教員・講師経験者のほか、大学・大学院生のアルバイトを想定する。かねて、大学入試での数学の記述試験の必要性を訴えてきた桜美林大学の芳沢光雄教授は大学入試共通テストの採点方針について「大学生や大学院生に受験生の人生を左右する試験で採点をさせるなんて、論外だ。統計データを取る学力調査とは根本的に違う」と厳しく批判する。

 ただでさえ、記述式は採点が難しい。2018年の試行調査で国語の採点結果を抜き出してチェックしたところ、評価の修正が必要なものが0.3%見つかっている。芳沢氏は「数学で理解力と論述力を問うには記述式は不可欠だが、各大学の責任で記述試験を導入すべきだ」との意見だ。

 大学入学共通テスト後、出願先の大学を決める際には受験生自身の自己採点が欠かせない。しかし、自己採点と実際の採点結果が一致しなかった受験生の割合は特に国語で高く、28.2~33.4%に上った。数学でも6.6~14.7%が一致しなかった。こうした中、文科省が国公立大学に対し、2次試験を受けられるか選考する「二段階選抜」の材料から国語の記述式の成績を外すよう要請する検討を始めたことも報じられた。

 そもそも、ある予備校関係者は「2年前に大学入試の方針は決まっているべきだ」と指摘する。文部科学省が通知する大学入学者選抜実施要項の中には、「個別学力検査及び大学入試センター試験において課す教科・科目の変更等が入学志願者の準備に大きな影響を及ぼす場合には、2年程度前には予告・公表する」といった記載がある。

 実際、各大学は2018年度中に英語民間試験の取り扱いや記述式の成績利用方法について予告していた。仮に記述式が見送りとなれば、英語の民間試験活用に続き対応方針が変わるのは必至の状況だ。いずれにしても受験生の不安は増すばかりだ。

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