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7844個がネットオークションで落札される

 1点目の余罪について、ブロードリンクは会見で、次の事実を明らかにした。元社員が入社した2016年2月以降に、ネットオークションに出品されて落札されたのは総計7844個で、そのうちハードディスクのように記憶領域を含む商品が3904個あった。ヤフーオークションの他、メルカリにも出品されていたという。

 このうち、どの程度が同社から盗まれたものなのかは分かっていない。元社員が入社してから同社が取り扱ったアイテム総数は321万2415個あり、記憶領域があって元社員が扱う可能性があったアイテムは22万8832個。同社はこの約23万個と、元社員が出品し、落札された3904個を写真などで突合する作業に入った。

 深田洋専務取締役は「(別の官公庁や企業のHDDである可能性を)調査している。事実が発覚すれば速やかに公表する」とした。元社員は「毎日のように盗んでいた」と供述しているとされることから、多くのHDDが取引先のものだった可能性が高い。

 2点目の「破壊されなかった理由」についても、同社は現時点での見解を示した。

 物理的な破壊を依頼された場合、依頼主が希望すれば、破壊後に写真などを添付した「破壊証明書」を送付するが、今回の富士通リースとの契約では証明書は送らないことになっていた。

 同社は証明書を希望しない案件では、取り外したHDDを他案件のHDDと一緒にカゴに入れ、順次、物理破壊機にかける。破壊した後にどの案件のHDDを破壊したかをトレースすることはしていなかった。同社は会見で「元社員はこのカゴからHDDを盗難した可能性が高い」とした。

 最後の3点目。チェック機能が働かなかったことについて、同社はセキュリティー対策に不備があったことを認めた。

 これまで同社は、カードキーによる退出管理や24時間態勢の防犯カメラ、退勤時の手荷物検査など7つのセキュリティー対策を実施していた。

 ただし、防犯カメラの映像を常に確認してはおらず、「何か(問題などが)あったときに確認するだけだった」(萩藤和明執行役員)。手荷物検査は「不定期の実施で、(頻度が)十分ではなかった」(村上崇副社長)として管理体制の問題が今回の盗難につながったことを認めた。元社員はこうした対策の隙を狙ってHDDなどを盗み出したとみられる。

 同社は今回の問題を受けて再発防止策を発表。第1段階として、全てのHDDに対して破壊前後にそれぞれ写真を撮影する他、操業時の入退室は全て有人で手荷物検査を実施する。第2段階として、セキュリティーゲートの設置、セキュリティーカメラの増設、外部講師によるセキュリティー研修の定期的な実施、の3点を挙げた。

 業界大手によるHDD転売という前代未聞の事件の焦点は、元社員がオークションで転売した他のHDDの所在と、その中に含まれるデータに移る。同社は年間1000から1500社と取引実績があり、官公庁も含まれる。記憶領域を持つ3904個の多くの行方は分かっておらず、他の官公庁や企業にも問題が飛び火する恐れがある。

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