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 日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会は12月6日、2019年の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」にトヨタ自動車のSUV(多目的スポーツ車)「RAV4」を選出した。トヨタ勢の受賞は09年の「プリウス」以来10年ぶり。一次選考で残った10車種による最終選考には「カローラ」の新型モデルも入っていたが、選ばれたのはSUV全盛時代の新たな「国際標準」とも言えるRAV4だった。

 「MS(ミッドサイズ)カンパニーの2つの車が競い合うのは大変きついことだった」。RAV4のチーフエンジニアの佐伯禎一氏は6日、受賞を受けたスピーチで喜びを口にする前にまず、こう話した。2位のマツダ「マツダ3」、3位のBMW「3シリーズセダン」に続き、4位に入ったのが新型カローラだった。

 同社の最新プラットフォーム「TNGA」を採用したカローラは、従来の「5ナンバー」から「3ナンバー」へと変更。スマホの地図や音楽アプリを車載機器のディスプレーで操作できる機能を標準装備する一方、セダン型が193万円からと価格を抑えた。9月の発売から販売現場での評価は高く、10月の車名別新車販売台数は前年同月比29.5%増の1万1190台。カローラとしては2008年11月以来11年ぶりに登録車販売ランキング1位に返り咲き、11月も首位をキープした(軽自動車は除く)。

 言うまでもなく、カローラはトヨタの顔だ。1966年の発売以来、「大衆車」のあり方を定義し、74年には車名別の生産台数世界一に台頭。現在までに150以上の国・地域で5000万台近くが販売されている。

 ただ、世界の自動車の流行はセダンからSUVへと変化している。自動車メーカーにとっての最重要市場の1つ、米国ではそれが特に顕著だ。同地での新車販売に占めるSUVを含むライトトラックの比率は7割を超えるとされる。そして、トヨタの米国販売をけん引するのがRAV4だ。2019年1~11月、RAV4の米国の販売台数は40万6789台で、トヨタ車全体の約2割を占める。主力セダン「カムリ」(同31万669台)や「カローラ」(同28万1108台)を上回る最量販車種となっている。

  RAV4は街乗りでも快適に走れる「クロスオーバーSUV」の先駆的な存在で、徐々にSUVらしさを強め、ハイブリッドモデルを中心に米国で人気に火がついた。今年4月、日本でも3年ぶりに発売。トヨタならではの安定感にとどまらない冒険性が20~30代の若年層の心をつかんでいる。

 「2年連続でトヨタからトップ10に2車種が入った。このところのトヨタの車造りは素晴らしく、お見事というほかない」。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員長の荒川雅之氏(モーターマガジン社取締役)はそう評価した。17年、18年はボルボ(スウェーデン)が受賞しており、3年ぶりの国内勢の奪還というトピックでもあった。

 ただ、次世代技術への投資競争が加速し、足元への投資が限られる中で、国内勢の中ではトヨタの「一強ぶり」があらゆる方向で垣間見えてきている。今回、2位に「マツダ3」が入ったことが救いではあるが、周囲の底上げがあってこそトヨタもさらに成長できるのだろう。

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