(写真:PIXTA)
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 運転中に携帯電話を操作する「ながら運転」を厳罰化する改正道路交通法が12月1日に施行された。スマートフォンの画面を注視したり、手に持って通話したりしながらの自動車運転に対する罰則が強化される。警察庁によると、普通車では反則金がこれまでの6000円から1万8000円となり、「ながら運転」で事故を起こした場合には即時に免許停止となる。

 ただ何がアウトで何がセーフなのか、一般的なドライバーにとっては基準が分かりにくい。例えば、電話をしていなくてもスマホを手に持っていることで違反となるケースもあり得る。「2秒ほど(スマホなどを)注視していれば違反になる」とされているが、警察が2秒を常に計測できるわけでもない。各都道府県の警察によって解釈が異なってくる可能性もある。

 とはいえ、事故の芽を事前に摘むという考えに対しては多くの人の賛同を得られるだろう。警察庁によれば携帯電話の使用に関連した交通事故の件数は2018年で2790件と、13年の2038件から約4割増えた。16年には、運転手がスマホでゲームをしながら運転していたトラックに男子児童がはねられ、死亡するという事故もあった。全国の交通事故の件数が減っているにもかかわらず、携帯電話やスマホを原因とする事故は増えている。

 業務上、従業員が運転席でスマホやカーナビの操作をする必要のある企業では、改正法への対応を進めている。タクシー・ハイヤー大手の日本交通は全社の掲示板で法改正を周知。「2秒以上注視すると罰則の範囲になる。カーナビや配車アプリへの対応でタブレットを操作する場面が増えているため、注意喚起している」(同社広報)という。

 タクシー事業などを手掛けるMKグループの広報担当者も「法改正は以前から分かっていたので乗務員の教育に力を入れており、特段戸惑ったといったことはない。迎車時にドライバーが顧客へ電話するが、必ず停車して連絡を取るように注意を促している」と言う。またカーナビ大手のJVCケンウッドは「法改正を受けて仕様などを変更したということはない。引き続き運転中の利用については注意喚起をしていきたい」としている。

 自動車メーカーが相次いで搭載している、自動ブレーキをはじめとした運転支援システムで事故を防げたケースも増えている。しかし、安全運転はドライバーに負う部分がまだ大きいのも事実だ。一般のドライバーにとっても、どうしてもスマホを使わなければならない場合には、まず停車するなどの心掛けがこれまで以上に重要になる。

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